イモを通じて食料問題を考える食料危機のときに重要な役割を担う横浜で 国際イモ年シンポ
国際農林業協働協会は11月9日、2008年国際イモ年を記念するシンポジウムを横浜市のパシフィコ横浜で開きました。テーマは「イモを通 じて食料問題を考える」。国連食糧農業機関(FAO)日本事務所と在日ペルー大使館が共催。
生産量も消費量急速に増加したFAOシニアエコノミストのデービッド・ダーウ氏とペルー国立ラ・モリナ農業大学学長のルイス・マエゾノ氏が基調講演。「食料価格、経済危機および食料安全保障」のテーマで講演したダーウ氏は「開発途上国では、イモの生産量は急成長を遂げており、1人当たりのイモの消費量も急速に拡大している。イモは今後の世界の食料供給に重要な役割を担っている」と訴えました。マエゾノ氏は「ペルーにおけるジャガイモの位置付け」について報告。ペルーのジャガイモの栽培面積は27万ヘクタールにのぼり、108の野生種、8つの栽培種、3800の在来品種が存在することを述べたうえで「品種を改良し、気候変動や病気への抵抗力を高める遺伝子は、野生種しか提供できない」と紹介。「アンデス地方の伝統農業や生活様式の中心にジャガイモが位置付けられ、ペルー人の精神や歴史は、ジャガイモの農耕形態をめぐって発展してきた」と語りました。
健康食品であり環境にやさしいパネルディスカッションでは4氏が報告。国立民族学博物館名誉教授の山本紀夫氏は「ジャガイモが果たしてきた歴史的役割」について述べ、インカ帝国を征服したスペイン人によって「発見」されたジャガイモは、ヨーロッパに導入されたものの、普及するまでには長い年月がかかったことを指摘。「ヨーロッパでは、飢きんの頻発で、ジャガイモの重要性が見直され、人口増や産業革命を支えた重要な食料源になった」と紹介しました。「サツマイモが果たす役割」について述べた農林水産先端技術産業振興センター研究第3部長の山川理氏は「サツマイモもペルーを起源とし、南の島々または中国を経由して、沖縄に約400年前、鹿児島には約300年前に伝来した。食糧危機の際に多くの日本人の命を救ってきた」と強調。「今では健康食品、環境にやさしいバイオマス植物としてエネルギーを提供する役割も期待されている」と発言しました。 東京農業大学准教授の稲泉博己氏は「アフリカのイモ類・食べ方と作り方」のテーマで講演。アフリカのイモ料理を紹介し、栽培法や収穫と加工法についても語りました。 イモが持つ能力について、栄養学的観点から報告した女子栄養大学助教の千葉宏子氏は「イモ類は炭水化物を多く含み、主食としている国では、主にエネルギー源としての役割を果たしている」と力説。「日本では、炭水化物、ビタミン、ミネラルを含む優れた食品として、主菜や副菜のおかずとして位置づけられている」と指摘したうえで、さまざまな料理法を紹介しました。
シンポジウム終了後、イモ料理の試食会が行われ、会場には、イモ類についての歴史、栽培・利用方法、料理などついてのパネルや、さまざまなイモ類が展示されました。
阪神淡路大震災から始まった兵庫収穫祭 14回目に農民連青年部もちつきに飛び入りも阪神淡路大震災から始まった兵庫収穫祭が11月2日、神戸市西区で開催され、多くの人が参加しました。今年で14回目。会場には、県下各地から参加した生産者や新日本婦人の会、保育所、神戸医療生協の健康チェックコーナーなど20あまりの模擬店がならびました。 結成したばかりの農民連青年部のもちつきには「僕もついてみたい」と男の子が飛び入り参加するなど、大変な人気で昼前にはもちが売り切れてしまいました。 舞台では、開幕太鼓の後、北野正一実行委員長(県立大学教授)のあいさつ。「たたかう仲間からの訴え」では、農民連会長の永井修さんも農業の実態を報告しました。そして、人形劇や大道芸「バナナのたたき売り」、フラダンス、よさこい鳴子踊や空手の演武などが次々と繰りひろげられました。最後は、農民連女性部が作ったおもちでもちまきをし、「元気を出してがんばろう」と明日への鋭気をおおいに養いました。 (兵庫農民連 上野信行)
(新聞「農民」2008.12.1付)
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[2008年12月]
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