「農民」記事データベース20081201-855-03

どうなっているの? 日本の水産業 =7=


漁港の整備進まず崩壊寸前

 生産の土台である漁港にもさまざまな問題が起こっています。その根源は水産業の国際化・200カイリ体制の登場です。

 漁獲量減少から漁師も船も減る

 いま日本の沿岸には約2900カ所の漁港があり、表のように、漁港法によって第1種から第4種まで指定されています。これらの漁港は戦後の食糧難解消を目的に、1962年以来、漁業構造改善事業により毎年1500億円以上の経費が投入され、港や堤防などが整備されてきました。そのため、水産関係予算の8割が公共事業という変則的な時代もありました。

 このようにして全国津々浦々の漁港が整備され、海外への進出も進み、漁業生産量は1963年の670万トンから1988年には1278万トンへと倍加しました。ところが1990年代入ると、漁獲過剰の影響や海洋環境の悪化による魚資源の減少、そして世界的な200カイリ体制の確定から、遠洋・沖合漁業の衰退が始まりました。このため漁獲量は2006年には570万トンへと1960年代と同じ量まで減少。その上、漁業就業者数も1963年の63万人から2006年には21万人へと1/3に減少し、“漁港あれども魚が見えない、漁師がいない、船はレジャー船ばかり”と大きな矛盾を生み出しました。

 国直轄の13港だけ大々的に整備

 このような時代の変化をうけて、水産庁は2001年に国際化対応政策として水産基本法を改定しました。この中で漁港については、漁場―流通 ―加工―販売等の一貫した大規模な整備、環境との調和や民間活力の導入などの方針をあげています。しかし、漁港の管理者は表のようにほとんどが市町村です。補助金による整備といっても、市町村や漁協の負担分もあり、現状の財政ではその整備もかなり困難で、ここ数年、どの港も補修や整備は進まず、わずかに台風など災害復旧が行われている程度です。

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 国は、直轄の特定第3種漁港(13港)を水産物の輸出入の主要港として大々的に整備し、国内生産物の流通 を再編しようとしています。しかし、海の施設は塩害で疲弊し、港の中は海砂がたい積するなど、30年で使いものにならなくなります。離島を含め2000カ所以上の漁港は、今後どうなるのでしょうか。

 地域経済の崩壊が、海からも始まっているのです。

(21世紀の水産を考える会 山本浩一)
(つづく)

(新聞「農民」2008.12.1付)
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2008年12月

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