「農民」記事データベース20081124-854-10

女性の前進はビア・カンペシーナの前進

ビア・カンペシーナ第3回女性集会参加 工藤美恵子さん


変革のエネルギー抵抗するパワーひしひしと私の胸に

 「初めての海外への旅がアフリカ!」――10月14日の朝、山形県村山駅で新幹線にあわただしく乗り込み、「ビア・カンペシーナ第5回総会、第3回女性集会」への旅が始まりました。

 日程はビッシリなのですが、実際の進行は非常にゆるやか。“モザンビーク時間”で進められていました。会議の途中や食事を並んで待つフロアで、幾度となくリズミカルに即興で歌い踊りだす現地の女性たちの姿は、アフリカの大地を思わせ、何とも言えない心地よい響きの歌声と踊りでした。

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色鮮やかな民族衣装を着たアフリカ代表の女性たちと工藤さん(右端)

 女性の総会参加全体の4割にも

 集会での女性の参加は、「各組識の代表は女性、男性、青年が各1人ずつ、青年もなるべく女性を」というビア・カンペシーナの推奨の成果 でしょうか、全体の4割ぐらいだったように思われます。

 女性集会は17日の午後から、アフリカの女性たちによるミスティカ(文化交流)で始まり、3人のパネリスト発言と続きました。翌18日もミスティカで再開。作業グループと称して、アグロ燃料、遺伝子組み換え作物、地球温暖化、単一栽培、食料高騰などのテーマを、地域ごとに担当して、「食糧主権の観点から見た女性の生活への影響」を討論しました。午後は、総会に女性が参加するようになった歴史的背景の紹介に続いて、作業グループでの討論を受けて、「何が進展を支えてきたのか、乗り越えなければならない障害は何か、より進展するには何が必要か」などが報告されました。

 言葉の理解が不十分なこともあり、集会の流れには消化不良を感じたところもありますが、発言では、「女性労働者は自由にトイレにも行けない」、「女性は妊娠しないような処理をされてしまう」、「女性の身体が最も利益をあげられる商品とされている」、「40日に1人の女性が殺されている」、「自殺者が増えている」など、南北アメリカ、アフリカ、アジアなどの国々から次々と訴えがありました。

 これらの訴えを聞いて、女性集会の議長が「この集会に参加したくてもできなかった女性たちがいる。しかし身体はなくとも心はここにある。この集会開催にたどり着くまでには、命とたくさんの犠牲、そして努力が払われ、それは簡単なものではなかった」とあいさつしたのを思い出し、その言葉の重さを改めて感じました。

 女性集会でも「宣言」が出され、男性を含めた総会の中で「女性の前進はビア・カンペシーナの前進である」こと、「女性への暴力を撲滅するための世界キャンペーンを行う」ことが決定されました。これは、とても大きな意義があると思います。発言の中では、女性に対する暴力の詳細な実情紹介が少なかったように思いますが、変革しようというエネルギー、抵抗するパワーをひしひしと感じ、大きな感動でした。

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女性集会で次々に発言する各国の女性たち

 青年・女性のこと真剣に議論され

 総会で採択された「宣言」にも「ビア・カンペシーナが持つ強さの一つは、異なる文化と思想を一つの運動にまとめる能力である」とありますが、それだけではなく、未来ある青年や生命を生み出す女性のことを真剣に取り上げ、議論するこの総会に参加できたことに、本当に感謝しています。象やライオンに会うことも、美しい太陽を見ることもできませんでしたが、国や文化によって異なることはたくさんあっても、「希望と闘いをグローバル化しよう」、「各々の地域で運動を進めよう」というエネルギーと大きな感動をもらうことができました。

 ビア・カンペシーナの「宣言」をともに学び、実践していきましょう!

(山形・最北地方農民連女性部・たんぽぽの会会長 工藤美恵子)

(新聞「農民」2008.11.24付)
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2008年11月

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