「農民」記事データベース20081124-854-09

小規模農業と食糧主権は、世界危機の打開策(下)

ビア・カンペシーナ第5回国際総会 モザンビーク宣言


 この現実に直面してビア・カンペシーナは何を守っていくのか?

 食糧主権 食糧システムから投機的金融資本を追い出し、食糧生産と備蓄を再び国家のコントロールのもとに置くことが食糧危機の唯一の打開策である。アグリビジネスが輸出用作物と人間のためではなく自動車のためのアグロ燃料を拡大しているなかで、小規模農業と家族経営農業だけが世界人口を養うことができる。小規模農業と家族経営農業に基盤を置いた食糧主権は、危機からの打開策である。

 エネルギー危機と気候危機の打開策として 長距離運送や工業化された農業ではなく地域に根付いた食糧システムは、温室効果ガスの排出量を40%も削減するこができる。工業化された農業は地球を温暖化させるが、小規模農業は地球を冷やす。流通と消費のパターンを変革することは、エネルギー危機と気候危機への対策として特別に必要なステップである。

 真の完全な農地改革と先住民の領域保護は、農村からの排除と追い立てを阻止し、われわれの農地を輸出農産物と燃料のためではなく食糧生産のために使ううえでも不可欠のステップである。

 持続可能な小規模農業と家族経営農業 農業生態的な小規模農業と家族経営農業だけが食糧価格を石油価格の影響から解き放ち、退化した土壌を復活させてそれぞれの土地に合った健康的な食糧生産を可能にする。

 女性の進歩は人類全体の進歩 女性に対する肉体的・社会的その他のあらゆる暴力を終わらせる。すべての内部機関での討論や意思決定の場で真のジェンダーバランスを達成することは、社会の変革のためにたたかう社会運動として躍進するために絶対に不可欠である。

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女性への暴力撲滅を訴えるポスター

 種子と水に対する権利 種子と水は、生命の源であり、人類の大切な遺産である。民営化はもちろん、遺伝子組み換え作物及びターミネーターテクノロジーの使用は断じて容認することはできない。

 社会的抗議に犯罪的イメージを持たせるイメージ戦略には「ノー」、ビア・カンペシーナが提案した国連の農民権利宣言に「イエス」。この宣言は、国際法制度の中で、小農民と家族経営農民の立場と権利を強化するための重要な道具になる。

 農村地帯の青年 農村部の青年の創造性と強さが農村地帯の未来づくりのための闘争と運動で生かされるように、これまで以上に青年にチャンスを与えなければならない。

 われわれは食糧を生産し、全人類の食糧を守る。

 ビア・カンペシーナ第5回国際総会のすべての参加者は、小農民・家族経営農業と食糧主権、尊厳、生活を守ることを誓っている。われわれは、現在人類が直面している世界危機に対する本当の打開策を提案している。われわれは、農民として生きていく権利を持っており、全人類に食糧を提供し続ける責任がある。

 われわれ、世界の小農民と家族経営農民はここにいる。われわれは社会から消し去られることを断固拒否する。

 今こそ食糧主権を! 今こそ民衆の団結と闘争を!

 たたかいをグローバル化しよう! 希望をグローバル化しよう!

(おわり)

(新聞「農民」2008.11.24付)
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2008年11月

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