「農民」記事データベース20081124-854-01

汚染米の徹底解明、
MA米の輸入中止を

許せないMA米の輸入再開

農民連・食健連 緊急集会と要請行動

 「汚染米」事件の真相解明、米の輸入中止を求める国民の声が高まるなか、政府は11月7日、国民の声を無視して、ミニマムアクセス(MA)米加工向け一般米の入札を強行。14日も一般米と主食用に回るSBS米の入札を実施しました。国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)と農民連は7日、農水省前で、MA米の輸入再開に対する緊急の抗議行動を行い、食健連加盟の各団体が抗議の声をあげました。


購入業者名の公表と
原産地表示は待ったなし

 事件の幕引きを図るのは許せぬ

画像 全国食健連の坂口正明事務局長は「輸入再開で汚染米事件の幕引きを図ろうとするのは許せない」と指摘。需要のないMA米を輸入する一方、減反を押しつけ、米流通 の自由化を進めてきた政府の姿勢を糾弾しました。

 さらに食健連が行った各政党に対する「汚染米事件の責任とMA米輸入についての公開質問状」で、MA米の輸入中止をきっぱりと主張しているのは日本共産党だけだったことも紹介しました。

 農民連ふるさとネットワークの横山昭三事務局次長は、汚染米を含む事故米が13年間で合計3万4000トン発生し、行き先が解明されたものはわずか7000トン、20%にすぎないと指摘。それも「業者の帳簿廃棄」や「全量消費済み」などの理由で農水省は早々と真相解明終了を宣言したと厳しく批判しました。

 また、MA米が米の需給をだぶつかせ、米価を引き下げ、米農家を犠牲にしてきたことを強調。政府が汚染米の積み戻しとその費用の商社負担、MA米を購入した業者名の公表を決め、原産地表示の義務づけが検討課題になるなど、食健連と農民連がこの間の運動をリードしてきたことを述べ、「需要のないMA米の輸入を許さず、たとえ輸入されても『買い手なし』の状況を作り出し、政府・農水省を追い詰めよう」と訴えました。

 国内農業の衰退自公政権の責任

 「学校給食に汚染米を使って、子どもたちに知らないうちに食べさせていたのは許せない」と怒るのは新日本婦人の会の玉田恵副会長。「輸入米でなく、日本のお米を食べる運動を広げていきたい」と述べました。

 全農協労連の国分博文委員長は、外米を輸入し、国内農業を衰退に導いた自民、公明の農政を批判し、「真っ先にやらなければならないのは、農政を変えることだ」と訴えました。

 東京国家公務員・独立行政法人労働組合共闘会議の植松隆行事務局長は、汚染がわかっていて輸入を認めてきた厚生労働省、税金の無駄だと指摘しながら「早く処理せよ」と急がせた財務省、会計検査院の責任に触れ、「各省庁を、国民のために仕事をする機関に変えていきたい」と表明しました。

 食健連と農民連の代表は、集会に先立ち、農水省を訪れ、汚染米事件の徹底解明と外米の輸入中止を求める要請書を手渡しました。

 一般米の再入札打ち抜きを強行

 7日に行われたMA一般米入札は結局、全量不落札という結果に終わりました。MA米再開後の初戦でつまずいた格好です。食健連、農民連の声と運動の成果です。

 その後、14日には、主食に回るSBS米と一般米の再入札を抜き打ちで強行しました。SBS米は2万1463トンを落札、一般米は5万1000トンを全量落札しました。

 今回のSBS米を国別にみると中国産、アメリカ産、タイ産の順で多く、一般米入札では51%がアメリカ産でした。

 世界の食糧不足のなかで日本の米輸入は、さらに価格高騰を招くことは必至です。

 今後、購入業者名の公表や加工品の原産地表示を行わせ、「MA米締め出し」の世論と運動をさらに強めるときです。

(新聞「農民」2008.11.24付)
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2008年11月

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