楽しみにしています
富山和子さんの
日本の米カレンダー
来年09年版で創刊20周年
「富山和子がつくる日本の米カレンダー」―毎年楽しみにしている人も多いことでしょう。来年の2009年版で創刊20年を迎えます。
10月11日、富山和子さん(立正大学名誉教授、水の文化研究所理事長)は、東京・新宿の書店「ジュンク堂」でトークセッションを行いました。
“平成の世直しカレンダー”人呼んで“怒りの美学”
国連を動かしたことも
農業は先行き不安
富山さんは、東京都の水道料金値上げ問題から、水問題の原点は森林・林業だということ、そして「もうひとつ大事なものがあった。それが農業、米づくりだ」ということに気づきました。しかし、農業は先行き不安でたいへんです。アメリカから米の自由化、市場開放も攻められていました。書いていたのでは間に合わない。写真を入れたカレンダーなら家族みんなで見られるし、考えてもらう教材になるだろうと、20年前に「日本の米カレンダー」がスタートしました。
腹立って仕方ない
カレンダーづくりは、発行年の2年前から写
真集めが始まります。スタッフや友人が集めた数千枚から12枚を選び終えるまで約半年。そしてその写
真の撮影地を確かめ、写真の背景になっている情報を集め、自治体や住民に取材もします。そうして、ようやく写
真と“にらめっこ”しながら、どんな言葉で読者に語りかければいいのか、わずか十数行に収めるまで悪戦苦闘が続きます。ようやく原稿ができたら、英訳してもらい、地名や暦の校閲で完成です。
こんなに手間暇かかるカレンダーでも、通常は破り捨てる消耗品。毎年毎年、こうした作業を続けてこられたのは、「読者のみなさんが来年もまた待っていてくださるという、その一事です」と話す富山さん。2004年は国連の「国際コメ年」でしたが、国連を動かしたのもこのカレンダーだったと言います。
いま「腹が立って仕方がない」と言う富山さんのこのカレンダーは、別名「平成の世直しカレンダー」、さらに人呼んで「富山和子の怒りの美学」とも。
足元を見てほしい
富山さんは、2月の写真「なごり雪」(写真左上、新潟県十日町市)を見ながら、写
真に添えられた「若者よ胸を張れ、胸張って故郷に踏みとどまれるよう、この国の政治を変えていこうではないかと」という詩を読み上げました。
最後に富山さんは「今日は若い方がたくさん来られて心強かった。ぜひ、国土と歴史に関心を持って、足元を見てほしい」と結びました。
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定価1300円(送料別)、注文は農民連本部まで。
10年分をまとめて1冊に
「水と緑 日本の原風景」
「日本の米カレンダー」の過去10年分の写
真のなかから、よりすぐりの写真と富山さんの詩をセットに60点を厳選してまとめた書籍『水と緑 日本の原風景』が、このほど出版されました。
富山さんは、この本を読んで「ごいっしょに日本再発見の旅に出よう」と呼びかけています。(定価2940円、家の光協会)
また、茨城県つくば市にある「食と農の科学館」では、10月20日から来年の3月31日まで、125インチのマルチスクリーンで「音楽と富山和子の朗読による映像詩、日本の米カレンダー」の上映と、カレンダーの展示を開催しています。
(午前9時〜午後4時まで、入場無料。JR常磐線または「つくばエクスプレス」とバス利用、農林団地中央下車)
(新聞「農民」2008.10.27付)
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