汚染米は公表の4倍(3万4185トン)も
75%の流通状況いまもヤミの中
農民連との交渉で政府
直売分の状況明るみに
農民連が10月8日に行った交渉のなかで、農水省は、保管時に発生した輸入汚染米の販売量(政府直売分)が6059トンであると初めて公表。その後明らかになった、輸入時に違反が判明し商社が自ら販売した分(商社ルート)や国産米と合わせて、汚染米の発生・販売状況の全容が明らかになりました。
|
国産米
|
輸入米
|
合 計
|
割 合
|
政府直売
|
8,528
|
6,059
|
14,587
|
42.7%
|
商社ルート
|
0
|
19,598
|
19,598
|
57.3%
|
合 計
|
8,528
|
25,657
|
34,185
|
|
割 合
|
24.9%
|
75.1%
|
100%
|
100%
|
1995年から2007年度までに販売された汚染米は、政府と商社の販売分を合わせて3万4185トン。これまで農水省が公表してきた8215トンの4倍にものぼります。いまだに75%の流通
状況は解明されておらず、事件は氷山の一角の様相です。
汚染米のなかに占める輸入汚染米の割合は約75%(2万5657トン)にのぼり、さらに輸入汚染米の約76%(1万9598トン)が商社ルートで販売された分になります。
農民連は交渉の中で「商社が扱った汚染米の処分方法について販売先を含めて明らかにせよ」と求めました。石破農水相は国会で「商社についても調査する」と言明しました。
運賃・海上保険料・荷揚げ費・検査費…
政府が負担、商社に至れり尽くせり
また交渉を通じて、輸入商社の特別待遇ぶりが次々と明らかに。農民連が「運賃、海上保険料はどこが負担しているのか」と問いただしたところ、農水省は交渉の中では回答しませんでしたが、その後の調べで、運賃、海上保険料、荷揚げ費用はすべてミニマムアクセス(MA)米の価格に上乗せして政府が負担し、9割を前払いしていることがわかりました。MA米荷揚げ時の残留農薬検査費用が236種類の農薬で1回あたり124万円、314種類の農薬で177万5000円と異常な高額となり、これも農水省が肩代わりしていたのです。
商社は外国産米輸入でぼろもうけ、加えて輸入したMA米は汚染米を含めていったんは政府が全量を買い上げてくれます。さらに政府が輸入コストを100%償い、まさに至れり尽くせりの実態が明るみにでた格好です。政府、商社、業者が一体で、アメリカいいなり、「義務」と称して不要な外米を買いあさる構図が、汚染米を生み出した背景にあります。
農水省によれば、MA米の買入数は08年度の予定を含めれば合計936万トンになり、運賃、保管料、事務費など管理経費には2520億円もの巨額の税金が使われていることがわかりました。
(新聞「農民」2008.10.27付)
|