不正流通は氷山の一角高橋衆院議員 MA米輸入やめよ
農民連の資料示し追及日本共産党の高橋ちづ子衆院議員は10月8日、衆院予算委員会で、汚染米を輸入し続けてきた政府の責任を厳しく追及し、ミニマムアクセス(MA)米の輸入中止を求めました。MA米の輸入を開始した1995年度からこれまでに市場に流通したとされる汚染米の量は、輸入時の水際検査で食品衛生法違反とされた約1万700トン、会計検査院報告の約2万800トンなどとなっています。一方で、農水省が把握している汚染輸入米は約5300トンにすぎません。高橋氏が「いま判明しているのは氷山の一角にすぎない。全容を解明せよ」と迫ったのにたいし、石破農水相は「10月末をめどに全体像を明らかにしたい」と述べました。 次に米の流通に悪徳業者の参入を許すことになった2003年の食糧法改悪を取り上げ、「小泉『構造改革』の一環である規制緩和で、届出さえすれば誰でも米流通に参加できることになった。行き過ぎた規制緩和が安全・安心を置き去りにした」と批判しました。 さらに「工業用のり」に使う汚染米を食用に転売した「三笠フーズ」が、書類だけで汚染米の買い受け資格を認められていた問題を取り上げました。石破氏は「実態を了知しないまま推移したことに重い責任を感じている」と釈明しました。 最後に高橋氏は、MA米の問題を取り上げました。農民連が03年にMA米の購入業者などについて情報公開請求したことに対する農水省の回答のなかでは、開示請求を「一部非公開」にした理由として「(MA米の)在庫処理の対応に苦慮している」「開示をした場合、購入とりやめが相次ぐことが予想される」などとしています。 高橋氏は「誰のため、なんのためのMA米か。必要のないMA米輸入はやめよ」と追及、麻生首相は「MA米をやめれば、米の輸入関税をなくして、一気に安い米が入ってきてもいいということになる。MA米を最初に決めたのは細川内閣だ」と開き直りました。 高橋氏は「MA米には、共産党を除くすべての政党が賛成した」と指摘し、輸入中止を求めました。
MA米輸入中止求める意見書福島県議会で全会一致採択福島県議会は10月10日、農民連が提出した「MA米の輸入中止を求める意見書」を全会一致で採択しました。またJA県中央会は、県に対する来年度の予算要望のなかに、はじめて「MA米の撤廃を主眼に国に要望すること」を求める事項を入れました。福島県農民連では、さらに世論を広げようと取り組みを強めています。
市町村議会に採択要請 奈良県農民連奈良県農民連は、9月議会に向けて、すべての市町村議会に対して「ミニマムアクセス米の輸入停止を求める意見書」と「燃料、肥料、飼料、農業資材の高騰に対する緊急対策を求める意見書」の採択を要請しました。中和センターでは、いくつかの議会事務局を訪問して農民連作成の「意見書案」を手渡し、直接要請を行うとともに、議員を訪問するなど取り組みを強めました。 その結果、MA米の輸入停止を求める意見書は、7市5町2村のうち5市2町で、また農業資材の高騰に対する意見書は、2市2町で採択されました。多くの議会で日本共産党の議員が奮闘しましたが、保守系議員が提案議員となった議会や、農家出身の保守系議員が賛成討論に立った議会もありました。 また広陵町議会では、三笠フーズの汚染米に関連し、町内の米穀販売店の社長が自殺に追い込まれたことなどから「汚染米流通による被害防止と原因究明に関する意見書」が全会一致で採択されました。 (奈良県農民連・中和センター 下村敏之)
(新聞「農民」2008.10.20付)
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[2008年10月]
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