「農民」記事データベース20081006-847-09

旬の味


 わが家の梨の収穫も、お彼岸を前に無事終わった。しかし、夏の雨不足は例年になく厳しく、水の散布も1回につき5時間、それも2日に1回という制限付きで重労働を極めた▼土作りから販売まで、すべての作業を夫婦2人でやっている。友人に職業を聞かれれば「ある時は農婦、ある時は主婦、ある時は事務員、ある時は販売員」などと笑いながら答えている。育てた果実がお客さんに届くまで、すべての過程を実感できるのは、幸せな労働だ▼今年も40年からのおなじみのお客さんたちが、たくさん梨小屋に来てくださった。「1年に1度、七夕さんやね。元気やった?」「実は家内が亡くなりましてん」など、悲喜こもごもの会話をさせていただく▼注文をいただいて全国に発送した梨に、「今年は一段と素晴らしい味でした」などとわざわざファクスをいただくと、生産者としては天にも昇る気持ちになる。顔が見える交流が、私たちを元気にしてくれる。この季節感あふれる食べ物を大切にしたいと思う。

(悦)

(新聞「農民」2008.10.6付)
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2008年10月

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