「農民」記事データベース20081006-847-02

農民連の提案

食料自給率を向上させる農政に転換を


 食糧主権を確立して、食料自給率の向上を

 食糧主権とは、すべての政府と国民が自分たちの食糧・農業の政策を決定する権利のこと。その柱は、食料自給率を向上させ、生産費が保障される農産物価格の実現です。

 農政の柱を、価格保障・所得補償に

 稲作農家の時給は、わずか179円。経営が“赤字”では作り続けることはできないし、後継者も育ちません。安心して作り続けるには、生産費を償う価格保障と農家の所得を直接補償することがどうしても必要です。

 食の安全と農家経営をおびやかす輸入自由化の中止を

 中国製ギョーザも汚染米も、そしてBSEや遺伝子組み換え食品も、もとをただせばすべて輸入農産物です。EPA(経済連携協定)・FTA(自由貿易協定)を中止し、セーフガード(緊急輸入制限)を発動させて、価格暴落の原因となっている輸入を規制すべきです。

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 農家はみな「担い手」、後継者の支援を

 規模が小さいからといって農家を切り捨て、一部の認定農家や集落営農だけを「担い手」にして支援の対象にする「経営安定」対策では、日本の農業は守れません。農家はみな担い手です。担い手と後継者を確保し、地域の条件と農家の意向を踏まえた多様な支援と「助け合い」こそ、集落と営農を守る道です。


MA(ミニマム・アクセス)米を受け入れた党、反対した党は?

毎年77万トン、合計865万トンの外米輸入を実行したのは自・公政権

 これまでに保管経費など2500億円以上もの税金を投入。不要な外米を輸入し続け、危険を承知で悪徳業者に汚染米を垂れ流し。

悪徳業者の不正許した米流通の規制撤廃は小泉「構造改革」の一環

 2004年、「食糧法」の改悪で米の流通規制を撤廃し、業者を登録から届出に。これが米流通の流れを見えなくし、汚染米流通の解明も不能に。

MA米の輸入を受け入れたのは細川内閣―与党は民主党の前身(新進党、日本新党、新党さきがけなど)、公明党、社会党など

 3度にわたる米輸入自由化反対の国会決議を無視して1993年、ガット・ウルグアイラウンドで米輸入受け入れ合意。

MA米の「輸入は義務」と決めたのは羽田内閣―与党は民主党の前身と公明党など

 「輸入機会の提供」にすぎないMA米を「国家貿易だから国に輸入義務」と勝手な解釈を閣議決定。以後13年間、不要・危険な米まで毎年輸入へ。

WTO協定批准を強行したのは村山内閣―与党は自民党・社会党・さきがけ

 1994年、国民の反対を押し切ってWTO協定の国会批准を強行し、食糧管理法を廃止。

「輸入は義務でない」と追及してきた日本共産党

 一貫してMA米に反対。1999年3月、国会でWTOの協定上「輸入機会の提供に過ぎない」ことを明らかにしたのが、日本共産党の中林よし子衆院議員(当時)でした。

農業破壊、ミニマム・アクセス米輸入…日本共産党以外の党が合作して推進

 農産物を全面的に輸入自由化して価格暴落のきっかけになったWTO協定や、汚染米流通の原因になったMA米の輸入も、自民党、公明党、そして今の民主党の前身であった党の合作でした。これらに反対を貫いたのは、日本共産党だけ。

 民主党は「すべての販売農家に所得を補償する」といいますが、「貿易自由化の推進」が前提であり、自公農政と本質的に変わりません。

 選挙になるとどの党も耳障りのいいことを言いますが、きっぱりと見きわめましょう。


安全な米づくり、安心して食べられる農政を

 日本米穀小売商業組合連合会 長谷部喜通理事長

画像 これからの農政は、中長期的な視野にたつことが求められます。毎年77万トンもの米を輸入し、減反への協力に補助金を出すということは、根本から見直されるべきです。

 加えて農家が将来に展望がもてないもとでは、米作りに従事しようという人が少なくなるのは当然です。豊かな水田を100%有効に使い、米作りを採算がとれるものにすることが必要です。

 安全・安心な米作りに励む農家の米を消費者に届け、作る人と食べる人との信頼関係を築くのが町の米屋の役割です。

 五ツ星お米マイスターの資格をもった米屋は、いまを消費拡大の絶好のチャンスととらえて、学校への出前授業などを実施し、日本型食生活に立ち返ろうと教育しています。“事故米”の事件は、こうした取り組みに水を差すものです。国が米の流通への責任を軽視し、民間任せにした結果、低価格の安売り競争が横行し、“事故米”の事件につながったと考えます。

 生産者が安全な米作りに従事でき、消費者が安心して食べられるような農政への転換が求められます。

食を金もうけの対象にしてはいけません

 新日本婦人の会京都・右京支部事務局長 江本佳世子さん

画像 日本の農家には減反を強制しながら、義務でもないMA米を輸入し続ける今の農政に、本当に腹が立っています。

 京都市では、業者委託された中学校給食のお赤飯に汚染米が使われ、わが家の中2・中3の息子たちも食べてしまいました。一番の被害者は子どもたちです。流通経路をきちんとチェックしなかったことにも怒りがわきますが、偽装の大もとは、小泉「構造改革」で主食である米流通に政府が責任を放棄してしまったこと。

 学校給食に汚染輸入米が入り込んだのも、構造改革のもとで、教育や福祉の予算が切り捨てられ、そのしわよせで学校給食でも安い業者の選定が強いられているからです。

 「食」が金もうけの対象になる社会では、食の安全は守れません。今こそ政治の転換が必要です。

(新聞「農民」2008.10.6付)
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2008年10月

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