アメリカからの圧力と
財界主導の「構造改革」で
「共済事業」が潰される!
民間と同一の基準適用
無認可・任意共済はもちろん、農協・漁協・生協などが取り組んでいる共済事業が、アメリカからの圧力と、財界主導による「構造改革」を推進する自公政権によって潰(つぶ)されようとしています。
日本政府へ米国政府が「要望書」
その発端は、2003年10月に届いた「日米規制改革および競争政策イニシアティブにもとづく日本政府への米国政府要望書」。これは、小泉政権が発足した直後の訪米の際に、ブッシュ大統領に約束したアメリカの主導権(イニシアティブ)の産物で、この要望書が毎年秋に提出され、規制改革会議などでの論議の下敷きにされてきました(毎年の要望書は、在日アメリカ大使館ホームページで見られます)。
2003年の要望書には、数多くの要求項目の中に「共済―同一基準」という事項があり、そこでは「共済は民間と直接競合する各種の保険商品を提供し、保険市場において相当なシェアを有している」と認め、「民間競合会社との公正な競争確保のため、すべての共済事業者に民間と同一の法律・基準を適用すること」を提言しています。
“早急に見直し開始すべきだ”
翌年の要望書は、さらに詳細で、「すべての共済に民間競合会社と同一の法律・基準を適用することにより、共済と民間競業会社の間に同一の競争条件を整備する」ことを繰り返し提言するとともに、すでに検討が開始されていた「無認可共済にかかわる議論が行われていることを歓迎するとともに、根拠法を有する共済に関しても早い時期に同様の見直しが開始されるよう求める」と明記しています。
当時の規制改革・民間開放推進会議では、この要望を受けて、さっそく2005年3月23日付の第1次(追加)答申で、「共済事業に関するルール整備」をあげ、さしあたり根拠法のない共済を対象に、「消費者保護ルールの整備」という表現で、保険業法の適用範囲の見直し(共済もカバーする)、共済への保険業法の適用などによって、早急に制度を整備すべきだと強調しています。この答申は、そのまま2日後に「規制改革・民間開放推進3カ年計画」として閣議決定され、同年5月2日には、国会で金融庁提案の保険業法改正が行われて、日米保険業による共済事業の吸収・飲み込みが開始されました。
この問題については、来る9月27、28日に福島市で開催される日本協同組合学会で、労働組合共済などの代表も参加したシンポジウムで論議が行われることになっています。
米国べったり財界いいなりでは
日本での共済事業は、古くは鎌倉時代から全国各地で多様に取り組まれてきた備荒米倉や、その後の頼母子講や無尽などを先駆けとする、伝統的で自主的な相互扶助活動を発展させてきたものであり、いわば庶民の暮らしの中での助け合いの原点といえるものです。
アメリカべったり、財界いいなりの政権では、たとえ誰が首相になっても、わたしたちの暮らしは何も変わらず悪くなるだけ。これはその典型例といえます。
(山本博史)
(新聞「農民」2008.9.22付)
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