汚染輸入米の食用転用事件和菓子・焼酎・給食にも…
農水省と業者との底知れぬ癒着が明らかに米卸売加工会社「三笠フーズ」(大阪市北区)が農薬やカビ毒に汚染された輸入米を “ただ同然”で買い付け、食用として不正に転売して、暴利をむさぼっていた事件が発覚しました。米菓、和菓子、焼酎などに混入していたほか、給食業者にも流通していたことが明らかになるなど、国民を震撼(しんかん)させる事態となっています。この事件は、長期かつ大量に、しかも計画的に国民の口に入れてはならない“毒入り”の米を流し続けてきたもので、きわめて悪質。事件を未然に防止できなかった農水省の責任は重大であるとともに、農水省と業者との「持ちつ持たれつ」の癒着は明らかです。同時に、事件の発端となったミニマムアクセス(MA)米制度が厳しく問われています。
汚染輸入米は、基準値を超える残留農薬が検出されたもの、または輸入の際に、一部が水ぬれ品になったり、保管中にカビが生えたりしたもの。これらが発生すると、業者に、工業用のりなど用途を限定して販売していました。工業用は、用途通り使われているかどうか検査することを義務付けられています。しかし実際には、検査は抜き打ちでなく、毎回事前に通告されていました。 さらに検査も2時間程度の短いもので、計画書通り販売されているのか、販売先の調査もしていませんでした。業者の方は、検査のときだけ、のり用の粉を作っているように偽装し、検査の目をくぐり抜けていました。 農水省北海道農政事務所は昨年3月、汚染輸入米を三笠フーズに随意契約で売却した際に、同社の意向に沿った形で契約時間を変更していたことも判明。複数の業者が、農水省から「何とか有効利用を考えてくれ」と、汚染輸入米の購入を持ちかけられ、業者も「恩を売っておけばという考えで入札に参加した」と応じたという報道もあるなど、両者の「持ちつ持たれつ」の関係が、日を追うごとに明るみに出ています。
農水省は、過去6年間(2003年度〜08年度)に三笠フーズに1779トンもの汚染輸入米を売却していました。その中身は、中国製冷凍ギョーザ事件で有名になった有機リン系殺虫剤メタミドホスが基準値(0・01ppm)の5倍を超えた中国米や、最強の発がん物質でカビ毒のアフラトキシンを含むアメリカ米や中国米など、有害なものばかりです。 なかでも06年度に売却された汚染輸入米が902トンと突出。これは、06年に残留農薬の規制を厳しくするポジティブリスト制が施行され、基準値を超えるメタミドホスに汚染された米が一気に増え、それを三笠フーズに売却したためです。 また三笠フーズは、農水省から売却されたもののほかに05、06両年に3つの輸入商社から輸入汚染米を815トン買い、その一部を焼酎メーカーに販売していたこともわかりました。 さらに農水省は10日、愛知県の業者が、国から「工業用のりの加工用」として購入した輸入汚染米を目的外の用途で販売していたと発表しました。
事件のさなか主食向け輸入米の入札実施今回の汚染輸入米事件は、輸入米が食の安全上、国産米に比べてもはるかに危険なものであることを示しています。汚染輸入米は、毎年77万トンもの米を輸入し続ける、不要なミニマムアクセス(MA)米。しかし、農水省は、08年度1回目のMA米一般入札を、事件が公表された9月5日に実施しました。17日には、主食向け輸入米の入札を行います。「不要で危険なMA米の輸入はやめよ」の声と運動を大きく盛り上げるときです。
食健連・農民連が農水省に抗議・要請事件の徹底解明を
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(食健連)と農民連は9月10日、「汚染輸入米」の問題で農水省に緊急の抗議・要請行動を行い、全容の徹底解明、再発防止などを求めるとともに、MA米の輸入中止と、違反した輸入米は船に積み戻し(輸出国に返品)、食用以外であっても国内には流通させないよう、強く申し入れました。 |
[2008年9月]
農民運動全国連合会(略称:農民連)
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