「農民」記事データベース20080908-843-10

旬の味


 夜、秋冬野菜を播(は)種したハウスに入るのが楽しみだ。懐中電灯に映し出されたキャベツやブロッコリー、双葉を重ね合わせた寝顔がなんともかわいい。葉先を手の平で触れると、命の息づかいを感じる。この子らを移植する本田に、どんな資材を使うか、地元にある資源を生かし土作りするだいご味が楽しい▼国の有機農業推進法の施策に応募して、わが町を中心に有機農業モデルタウン事業が今年から始まった。新たに有機農業を実践する市民を募集したところ、家庭菜園の人から販売をめざす人まで、予想をはるかに超える応募があった▼志願者に対応する農家は大変だが、「高騰する農業資材を地域で使える資源に置き換えることができれば、この機会に食と農がもっと豊かになる」と話した。有機農業をもっと身近に感じてもらい、農産物の息づかいが伝わればうれしい▼猛暑で渇ききった農地。耕す仕事は、競争に追われ乾いた人々の心に水を与える。これからの農業に求められている大きな役割だ。

(畑)

(新聞「農民」2008.9.8付)
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2008年9月

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