「農民」記事データベース20080908-843-09

北九州市の「もりつねミルク」

酪農家にカンパを寄せる牛乳屋さん

店主 清末幸治さん 営業部長 山口司郎さん


これからお互い助け合い
おいしい牛乳を消費者へ

 農民連と明治乳業争議団は三月十八日、「乳価をあげろ! 明治乳業は社会的責任を果たせ!」と、明乳本社や乳業協会、農水省などに要請行動を行いました。この様子はテレビでも放映されましたが、これを見た北九州市小倉南区にある牛乳販売店「もりつねミルク」の店主、清末幸治さん(51)と営業部長の山口司郎さん(47)が「酪農家の方々のご苦労を知り、いたたまれず、何かできることはないかと思い送金にいたりました」との手紙を添えて、カンパを寄せてくれました。

 お二人にお話を伺いました。

 涙が出そうに

 ――カンパをしようと思い立った動機は何だったのでしょうか。

 山口さん テレビをみていたら、酪農家の方々が「エサ代が高騰して、これでは乳を搾れん」と言うのを聞いて、涙が出そうになりました。私たちは牛乳を毎朝お客さんに届けていますが、牛乳がなくなったら、私らの商売も成り立ちません。こういう時こそ、なにか助け合っていけないかと店主に相談しました。

 清末さん 価格の交渉では、適正な乳価になるよう祈っていますが、何か支えあえればと思って牛乳代金の一部を送金させていただきました。販売店自体、売り上げ減少で悩む中、私たちの気持ちを受け取ってもらえれば、本当にうれしいことです。いまの酪農危機を救う一つの方策になるのではないでしょうか。

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もりつねミルクの店主・清末さん(右)と山口さん

 窮状を話せば

 ――確かにみなさんのお気持ちはありがたいのですが、根本の仕組みを変えないと本当の解決にはなりません。

 山口さん そのとおりです。農業や漁業など一次産業を本当に「国の基」として面倒をみなければいけないと思います。そうしないと、おおごとになるという不安があります。なんでも輸入でいいのか、なんでもアメリカの言うままでいいのか、いま、そういうことが問われているのではないでしょうか。

 清末さん 乳価が上がれば、販売価格も上がります。現に春には八円値上がりしたために、配達の解約が通常の二倍に増えました。しかし、消費者にいまの酪農家の窮状を話せば必ず理解してもらえると思っています。販売店も、配達車のガソリン代の値上げなどで経営は大変ですが、これからもお互い支え合って、“おいしい牛乳”を消費者に届けていきたい。

(新聞「農民」2008.9.8付)
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2008年9月

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