問題意識が変わった
原水爆禁止世界大会に初めて参加して
農民連食品分析センター 坂本 一石(かずし)さん
被爆者や高校生の話を聞いて
“自分も何かできないか…”
農民連食品分析センター職員の坂本一石さん(28)は、八月四日から六日の三日間、広島で行われた原水爆禁止世界大会に参加しました。その報告を紹介します。
原爆の恐ろしさ
広島へは、友人と旅行で訪れたことがありましたが、その時は原爆資料館と原爆ドームくらいしか見ませんでした。今回は一緒に参加した豊島原水協(農民連本部のある豊島区の原水爆禁止協議会)の人たちと、市内のさまざまな原爆史跡を見て歩くことができました。
特に印象に残ったのは、熱線を受けて部分的に表面が溶けたお地蔵さまや神社のこま犬で、実際に触ってみると確かに影の形に沿って手触りが違うのです。これには原爆の威力の恐ろしさを見せつけられました。また、原爆に耐えた銀行などの建物が、いまも資料館やパン屋の一部として残されていることも知ることができました。
ねばり強い努力で
世界大会では、全国でそして世界の各地で、核兵器廃絶のために尽力されている人たちの話を聞くことができました。だいぶ高齢になった被爆者がまだ現役で運動の先頭に立っていたり、自分よりも若い高校生や大学生が取り組んでいる話を聞くと、自分でも“何かできることはないのか”と考えざるを得ませんでした。
また海外の人たちが、自分たちの問題として核兵器の廃絶に取り組んでいる姿には勇気づけられました。その中で、あるアンケートが紹介されていました。外国人は大多数が「核兵器は廃絶できる」と考えているのに対し、日本人は逆に過半数が「核兵器は廃絶できない」と考えているというのです。日米安保・核の傘というイデオロギーが日本人を支配し、政治に対するあきらめがここまで日本人を堕落させてしまったのかと、非常になさけなく思いました。世界の核兵器廃絶運動を推し進めるためにも、最大の被害者である日本人の意識をまず変えていかなくてはならないと強く思いました。
また、国連を代表してセルジオ・ドゥアルテさん(国連軍縮問題担当上級代表)が参加していました。国連代表が世界大会に参加するのは初めてのことで、これは世界が核兵器廃絶に向かって大きく足を踏み出そうとしていることの象徴なのではないでしょうか。セルジオさんは言っていました。「核保有国は、核兵器廃絶の日程になかなか同意しようとしないだろうが、異なった意見や立場に敵意を抱くのでなく、粘り強い努力を続けなくてはならない。それでも私は、核兵器の廃絶が不可能だと思ったことはない」と。実際に現場で各国代表と渡り合っている人の言葉は、とても重く心に響きました。
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東京・豊島原水協の仲間と参加して。前列左端が坂本さん
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体験を直接聞いて
今回初めて参加しましたが、話に聞くのと実際に参加するのではやはり違いました。現場の空気に触れ、人の言葉を直接聞くという体験は、文字だけの情報とは全然違います。自分の問題意識もだいぶ変わりました。ぜひ、一度参加することを強くお勧めします。
最後に、今回の参加にあたって、多くの方々からカンパを寄せていただきました。あらためて感謝申し上げます。
(新聞「農民」2008.9.8付)
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