地域の食材で子どもに笑顔
08年教育のつどい in 京都
子どもたちのための
食生活・食育の推進を
関連/横浜港輸入食品見学ツアー 初参加が20人
「子どもの育ちと食・農・環境」
フォーラムで大いに交流
「子どもを人間として大切にする教育を国民みんなの力でつくりあげよう」――猛暑の中、「みんなで二十一世紀をひらく教育のつどい―教育研究全国集会二〇〇八」が八月二十一日から二十四日まで、京都市内で開かれました。
全体集会には全国から四千人、のべ一万人が集まり、熱気に包まれました。農民連は計画段階から実行委員会に加わり、今年初めて取り入れられた「子どもの食・農業・環境」の教育フォーラムや食教育などの分科会で大いに交流、討論を行いました。
フォーラムでは“参加者が声を出して参加できるものにしたい”と結婚式風にテーブルを並べました。参加者はちょっと戸惑っていましたが、みるみるうちに会場がいっぱいになり、予想をはるかに超えて百三十人にのぼりました。
コーディネーターの山崎万里さん(大阪千代田短大非常勤講師)は「食べ物は体をつくり、食べ方や料理は心を育てます。そして農家は、自然が語る言葉を伝える通訳者であり、農業は地球上の自然の異変を伝える産業です」と訴え、全員の発言で取り組みへのきっかけを作ってほしいと呼びかけました。
パネリストの真嶋良孝さん(農民連副会長)は「世界的な食糧危機と地球温暖化の対策は待ったなし。世界人口の二%しかない日本が貿易に回る食糧の一〇%を買いあさることは許されない。いま食糧主権が世界に広がっているが、『産直』『地産地消』など日本の運動がこれほど注目を集めている時はない」と強調しました。
実践報告を行った一原康男さん(京都農民連・京北農民組合)は「地産地消が原点。地域で誇れる食材を地域の子どもたちに食べさせたい。そのことで教育力も高まる。市町村合併で困難もあったが、町の助成で米や牛乳を学校給食に入れることができた。万願寺とうがらしやほおばご飯、地元のみそも子どもたちに喜ばれ、農業を続けられることを誇りに思う」と発言しました。
またパネリストの井坂洋子さん(新日本婦人の会京都)から、米飯給食の週四回を実現したことや子どもが農業体験を通じて食への関心が変わってきたことなどが報告され、金井多恵子さん(小学校栄養教諭)は「素材からつくる手作りを大切に、安全な国産・京都産の食材を増やしてきた。政府や企業の責任を明確にしながら、いま子どもたちに求められる食生活の改善や食育の推進を大きな国民運動に発展させたい」と述べました。
このあと各テーブルで自由討論が行われ、文字通り全員が発言。「“人は食べものでつながる”の言葉は実感です」「食と農・環境をテーマにフォーラムができてうれしかった」など、率直な感想が出されていました。
今回の「教育のつどい」を通じて、食と農・環境と子どもの育ちが、こんなにも結びつきが強かったことをいまさらながら痛感しました。
(農民連本部 上山興士)
茨城県西食健連
茨城県西食健連(事務局:茨城県西農民センター)は八月一日、毎年恒例の横浜港輸入食品実態見学ツアーを行い、初参加二十人を含め三十一人が参加しました。
初めてテント倉庫に足を踏み入れた参加者は、モワーッとした暑さの中の例えようのない悪臭に「何が入ってんの、これ!?」と、山と積まれた段ボールや木箱を見上げます。「この中の野菜は、十三度という濃い塩分に漬けられた状態になっています」との横浜税関の高野広志さんの説明に、「そんなもん食えねぇよなぁ〜」の声。「いや、そんなこと言ったって、あの山菜ソバとかに入ってる山菜、みなさん食べるでしょ?」と高野さん。「あれね、ほとんどここに積んであるのと同じヤツです」「え〜っ!」
山と積まれた食品から悪臭
参加者ショック“食えねぇよ”
高野さんは続けます。「もちろん塩分十三度のままじゃ食べられません。塩出しします」「塩出しって?」「水なんかに漬けたって、これほどの濃度じゃ抜けませんから薬品に漬けます。当然品物はクタビレます。なかには変色しているものもありますから、塩出ししたら、漂白、色づけ、香り付け、味付けされ、採りたてのような色になって、おいしい山菜になります」
箱の中身は菜の花、ナス、ダイコン、野沢菜、きのこ、タケノコ、きくらげなど、日本で採れるものばかり。みなさん、ショックを受けた様子でした。
最後に高野さんはこう言いました。「いま、みなさんが食べているものすべてを国産にしたり、輸入食品をまったく食べずにすめば良いのですが、現状ではすぐには無理かもしれません。ただ、今までよりは(選び方や表示に)少しでも気をつけて、一つでも二つでも、安全な食品を選ぶようにしてください」。
まずは、事実を知ることから始めましょう。年々受け入れが難しくなってきている横浜港輸入食品実態見学ツアーですが、次回はぜひ“一度も行ったことのないあなた”をお待ちしています。
(茨城県西農民センター 久保幸子)
(新聞「農民」2008.9.8付)
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