G8サミット対抗行動
国際フォーラム発言から
食糧危機が深刻な今でも
生産調整進める日本政府
北海道農民連会長 山川 秀正さん
私は、北海道の十勝管内、音更町で四十ヘクタールの畑作経営を行い、小麦やビート、豆類、ブロッコリー、カボチャを作っています。農業を始めて三十八年たちますが、この間、農地を三十ヘクタールほど増やしてきました。
北海道で栽培されているのは米をはじめ、ビート、バレイショ、小麦、豆類、乳製品など多彩です。しかし、ビートや小麦、牛乳など多くの農畜産物が、一定量の輸入を前提にしており、その時々で、生産制限や価格による差別、生産枠の設定が行われてきました。その典型の一つが、バターが店頭で買えないことです。二年前に行った搾乳制限が、そのつけとなって現れているのです。
農業基本法が制定された一九六一年当時、二十三万戸あった北海道の農家戸数は現在六万戸で、四分の一にまで激減しています。生き残った農家も安泰でなく、その中でも一番不安を抱えて営農を続けているのが、国民の主食を生産している水田農家です。北海道では五〇%を超える生産調整(減反)が実施される一方、ミニマム・アクセス米が年間七十七万トンも輸入されています。
さらに昨年からは、今まであった価格保障、価格支持制度を廃止し、支援の対象を北海道で十ヘクタール、都府県四ヘクタール以上の一部の大規模農家に限定する「品目横断的経営安定対策」を実施しました。
今まで生産の多くを担ってきた中小農家や兼業農家を支援の対象から排除するものであり、食料自給率の向上に背を向け、日本農業に新たな混乱を作り出しています。北海道の十ヘクタール以上の農家でも、残念ながら手取りが一昨年と比べて七〜一五%程度減収になりました。
今後、農業を続けていくうえで、安全な食糧を生産する技術、環境への負荷の軽減策、持続可能な農業経営へのスタイルの模索など課題がたくさんあります。住民とのネットワークを広げ、住み続けられる農村地域を作る運動をともに前進させようではありませんか。
(新聞「農民」2008.9.1付)
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