「農民」記事データベース20080901-842-03

農業体験で目の輝き変わった

教育ファームで農家と子どもが交流


農文協が「推進セミナー」
多彩な実践を報告

画像 農(林漁)家が指導する農林漁業体験(教育ファーム)の交流会、教育ファーム推進セミナーが八月三日、東京都千代田区の東京国際フォーラムで開かれ、教育ファームに取り組む農家、教員、行政関係者ら二百人が参加しました。主催は、社団法人農山漁村文化協会(農文協)。

 立教大学大学院教授・哲学者の内山節氏が「教育にむらの時間を取り戻そう」のテーマで基調講演。技、文化、歴史などが一体的に展開する教育の場としての地域社会を改めて見直す必要性を述べました。

 教育ファームの実践を四氏が報告。東京で実施する出前稲作体験授業について語ったJA山形おきたま青年部川添支部の高橋勝さんは、ザリガニ、タニシ、イナゴなど田んぼの生き物や植物などを箱の中に入れた「びっくり箱」を持参し、小学生に実際に触れてもらう取り組みを紹介。「都内の小学校では、出前授業という一方通行の活動が、都会の子どもたちの山形県飯豊町での農業体験という双方向の活動へと発展している」と語りました。

 新潟県上越市立高志小学校の舘岡真一さんは、小学生が収穫したお米を、自分で値段をつけ、文化祭で販売して食べてもらうことによって、子どもたちが今までの「食べる側」から「育てる側」の立場でものを考えるようになった実践を紹介しました。

 瀬戸内海の離島、祝島(山口県上関町)で農園を営む氏本長一さんは、離島での豚の放牧を利用した棚田再生の取り組みを報告。教育ファームで子どもたちが、田畑を耕す豚と触れ合い、豚肉として出荷されるまでを見届けた後、祝島産の食材と豚肉を使った「豚田兵カレー」を味わうことで、「伝統的な循環型農業への認識を深め、島を見直すきっかけになっている」と語りました。

 さいたま市でファーム・インさぎ山を運営する萩原さとみさんは、羽釜を使ってワラでご飯を炊き、お米のおいしさを五感で体験してもらうことで、「子どもたちの目の輝きが違ってきた」と発言しました。

 閉会あいさつで、農文協の栗田庄一常務理事は「地域が農家を応援するしくみをもう一度作ることが必要。教育ファームの取り組みをさらに強めよう」と呼びかけました。

(新聞「農民」2008.9.1付)
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2008年9月

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