G8サミット対抗行動
国際フォーラム発言から
伝統的な農法にたち戻り
何よりも食糧主権確立を
バングラデシュ バドラル・アラムさん
私は百五十万人の構成員を持つバングラデシュ農民組合の代表です。バングラデシュ南部で家族とともに、さまざまな種類の米や野菜を生産しています。バングラデシュは小国ですが、一億五千万人もの人が住んでおり、気候変動と食糧主権という課題とも大きな関係があります。
二〇五〇年には、バングラデシュという国が地球上に存在しなくなるのではないかと懸念しています。地球温暖化による海面上昇で、海の底へ沈むかもしれません。 温暖化にストップをかけて、CO2の排出をやめさせることが求められます。先進国がこの排出源になっており、責任をとらなければなりません。
また別の予測では、二〇三〇年までに国土の三分の一を占めるバングラデシュの南部が、海中に沈んでしまい、三十万人の難民が生まれ、北部に移動しなければならなくなると言われています。
私たちが実際に直面している最大の問題は、サイクロンによるものです。〇七年のサイクロンで、四万人の死者が出て、動植物、農作物にじん大な被害が及びました。
バングラデシュは、一九六〇年代までは、一つの農家でさまざまな作物を自分で作って、完全自給を達成していました。しかし、政府による「緑の革命」以後、食べ物は、多国籍企業によって輸入されたものを買わなければならなくなり、食糧主権は失われました。
南部は、川がたくさんあり、川底のたい積物を肥料にしている農家もいます。川から水を引いて、自分たちの土地で、化学肥料や農薬を使わない農法が行われています。
ところが北部では、すでにこのような伝統的な農法が失われています。今私たちは、食糧主権を確立して、昔の有機的な農業に戻るべきだと訴えています。気候変動の影響と食料の安全保障という考え方から、食糧主権の確立の重要性を訴え、継続的なたたかいを呼びかけています。
アグロ燃料に気候危機の打開求めるのは間違いだ
インドネシア ムハンマド・イクワンさん
私はインドネシア農民組合のムハンマド・イクワンです。
ヘンリー・サラギさんが基調講演で指摘したように、気候「変動」は気候の「危機」だと思います。気候危機は、突然、天から降ってわいた現象ではなく、資本主義的な生産様式や消費様式から生まれた、とても長い時間のかかったプロセスです。そして自由貿易によって世界中に食糧が輸送されています。
気候危機で最初に苦しむのは、まさに農民です。干ばつ、嵐、サイクロン、こうした大きな連鎖によって、耕作地を破壊していきます。二〇〇七年だけをみても、インドネシアでは三回の洪水があり、数千ヘクタールの農地が流され、私たちの仲間の農民数千人が亡くなったり、土地を失ったりしています。
農業はアグリカルチャーといいますが、災害は農業そのものが含んでいる大きな文化や地域の知恵をも危機に追い込み、雑種や遺伝子組み換えなど、農法そのものも気候変動に合わせなければならなくなっています。
さらに私がここで強調したいのは、アグロ燃料は、新自由主義によって押し付けられた間違った解決策だということです。アグロ燃料から利益を得るのは自動車メーカー、そして多国籍製油企業、プランテーション企業です。
ジェトロファオイルを一トン生産するには、機械の燃料が一・五トン必要ですし、決して環境にやさしい燃料とはいえません。またインドネシアはパーム油の輸出国ですが、価格が高騰し、国民の料理用パーム油が買えなくなっています。
では、私たちはどうすればいいか。一つは組織化を強めるということがあります。また私たちは、真の農地改革も要求しています。小規模の家族農業は環境にもっともやさしく効果的な方法です。低投入であり、そして労働集約的で雇用を創出するからです。
(新聞「農民」2008.8.25付)
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