ハイチ大使招いて集い
アメリカの安い輸入農産物で
ハイチ農業破壊、食糧高騰も深刻
埼玉食健連
農林業と食糧・健康を守る埼玉
連絡会(埼玉食健連)は、八月三日、ハイチ共和国のジャン・クロード・ボード駐日大使を招いて、「世界の食料事情と“食糧主権”を考える集い」を、さいたま市で開催しました。
カリブ海の島国ハイチ共和国は、独裁政権による圧政や長く続いた政情不安から、現在は中南米の最貧国という窮状にあります。今年四月には、食糧高騰がきっかけとなって多数の死傷者を出す暴動が発生しました。
ボード大使は、ハイチの食料高騰の実態として、二〇〇二年比で、トウモロコシ粉は四倍、小麦粉は三倍、牛肉は二・六倍、鶏肉も三倍に急騰し、とくに炊事の燃料となる木炭が三倍近くに高騰し、庶民の大きな負担となっていると紹介。これらハイチの窮状の原因として、毎年のハリケーン被害などと並んで、「最悪の問題は、ダンピングされた輸入農産物によって、ハイチ国内の農業が破壊されてきたこと」と指摘。主食である米も、牛乳も、鶏肉もアメリカから安く輸入され、ハイチ国内の農家が生産意欲を失っていたところに、最近になって世界的な食糧高騰の波が襲い、事態が深刻化しました。
集いには、日本アジア・アフリカ・ラテンアメリカ連帯委員会の常任理事の新藤通弘さんが、ラテンアメリカ情勢について講演しました。
ハイチでは食料高騰から小麦、塩、食用油脂などと泥を混ぜ、乾燥させた泥クッキーが作られているというニュースが、マスメディアで大きく報道されたことから、会場からはこの「泥クッキー」への質問も。新藤さんは、「ハイチの困難は事実だが、国民の方をしっかり向いた政府が経済の建て直しに取り組んでいる途上であり、そういう視点での理解が重要」と説明しました。
(新聞「農民」2008.8.25付)
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