第54回日本母親大会
食の安全・安心と環境考える
熱い思いあふれる発言・討論・交流
環境と食を結びつける行動ぜひ
第五十四回日本母親大会が、七月二十六、二十七の両日、愛知県名古屋市で開催され、のべ一万五千人の女性が集いました。
一日目は、三会場に分かれての分科会。「日本の農・漁業、食の安全・安心と環境を考える」シンポジウムには、二百六十人を超えるお母さんたちが参加し、通路まで満杯。熱い思いあふれる討論となりました。
パネリストは、農民連副会長の真嶋良孝さん、東京農工大学元教授の瀬戸昌之さん、愛知食糧と農業と健康を守る会の野村邦子さんの三人。
真嶋さんは、食糧高騰の原因を解き明かし、「WTOがおし進める自由貿易体制のもとで、世界の家族農業が破壊され、飢餓と貧困が拡大してきた。今こそ世界の人びとと連帯して、食糧主権を確立しよう」と呼びかけました。
瀬戸さんは、「地球の直径が一メートルだとしたら、空気の層は〇・八ミリしかありません。この薄皮まんじゅうのような空気に頼って、地球のすべての生き物が住んでいるんです。地球環境がいかに大切か、実感できませんか」と問いかけました。そして「WTOのような目先の利益一辺倒ではなく、長期的な視点にたって、農林漁業の公益的な役割が守られるような、本当に豊かな社会を共につくっていきましょう」と呼びかけました。
学校給食の調理員を長く勤めた野村さんは、学校給食や地域で続けてきた地産地消の取り組みを紹介しながら、「一人ひとりが自分の身のまわりでできることから、どんどん声を上げていこう」と述べました。
会場からも、食と環境にかかわる幅広い発言が相次ぎました。生産者の立場からは、「飼料が暴騰して、畜産農家は存続の危機。力を合わせて運動を広げたい」(群馬)、「農産物価格は安いのに、固定資産税が高くて農業が続けられない」(愛知、広島)、「小規模でも誇りを持って農業を続けていきたい」(愛知)、などの発言がありました。
また、各地の産直や地産地消の取り組みも。愛知県の新婦人から参加したお母さんは、「“子育てママを応援”をテーマに、年間を通して生産者と交流し、産直ボックスを広げている。ある小組では、若いお母さんのゴマすり体験を通して、食料自給率や食の安全性の問題を学び、とても好評だった」と報告。また、「中学校給食実施を公約にかかげた橋下知事が当選したが、実態は民間への弁当の注文」(大阪)、「地産地消の学校給食をどう実現するか、全国の取り組みを知りたい」(千葉)などの発言も相次ぎました。
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即完売の物産展
農民連のブースでは、人並みが途切れることなく大にぎわい
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二日目は全体会。一人ひとりが花びらに願いを書き込んだヒマワリの花が会場の壁を飾るなか、お母さんたちが平和、暮らし、福祉など多彩
な取り組みを報告し、農民連女性部長の久保田みき子さんも登壇してアピールしました。
母親パレード
憲法守ろう 食料と農業守れ
農民連女性部も要求短冊を手に
一日目の午後には、猛暑のなか、母親パレードが行われました。長い隊列をつくるお母さんたちは、直射日光とアスファルトの照り返しで、みんな汗だく。でも「憲法を守ろう!」「三十人学級を実現しよう!」「日本の食料と農業を守れ!」などと、元気にコールしながら、一キロメートル余りの道のりを、二千人のお母さんが歩き通
しました。
農民連女性部のお母さんたちも未来への願いをこめた短冊を持って行進し、道行く人にアピールしました。
(新聞「農民」2008.8.11付)
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