「農民」記事データベース20080811-840-03

畜産

大パニック阻止学習会

関連/農業や環境の破壊者は大企業だ


生産者と消費者が力合わせ危機打開を

画像 生産者・消費者らが呼びかけ人になって、畜産危機打開の道をさぐる「畜産大パニック阻止学習会」が七月二十六日、都内で開かれ、首都圏から生産者、消費者が集いました。

 東京都の上原公子・前国立市長が「生産者と消費者が同じ認識を持ち、解決策を議論しよう」と開会あいさつ。

 「卵はもはや物価の優等生ではなくなった」と切り出した全国養鶏経営者会議の石澤直士会長は、自らの飼料米の取り組みを紹介。「三キロのえさで一キロの良質のたんぱく質(卵)ができることを目標にしている。飼料米には明るい未来がある」と述べました。

 日本鶏卵生産者協会の菊地実常務理事も、稲作農家と進める地域に根ざした飼料米の実践を報告しました。

 畜産農民全国協議会の森島倫生会長は「金を出せばえさを買える時代は終わった。多くの農家が豚の飼育頭数を減らし、投資をしても残るのは借金だけだ」と強調しました。

 「乳価は値上げされる予定だが、それまで自分たちの経営がもつかどうかわからない」と厳しい実態を告発した千葉県長生地域畜産振興協議会の中村種良会長は、地域の水田農家に呼びかけて耕畜連携で進めている自給飼料の取り組みを発言しました。

 消費者団体からは、家庭栄養研究会の蓮尾隆子さんが「消費者も生活が苦しく、食費を切り詰めている。生産者は窮状を具体的に訴え、危機感を消費者に伝えてほしい」と述べました。

 東京農業大学の信岡誠治准教授が、飼料米の効用について説明。「稲作農家にとって、減反の廃止で水田をフル活用でき、雇用拡大、地域農業の所得増をもたらす」と述べ、「水田農業の新たな活路を切り開き、農家にやる気を起こさせる。超多収飼料米こそ畜産大パニック阻止の切り札だ」と強調しました。

 中央大学の今宮謙二名誉教授は、世界経済が景気後退・金融混乱・物価高騰の三重苦にあり、それをもたらしたのが投機マネーだと指摘。投機取引が、借金で運用され、もうけへの期待だけで動いているもろさを告発し、「社会不安が激化し、世界で投機マネー反対の市民の抗議が高まっている。投機マネー規制は可能だ」と呼びかけました。


農業や環境の破壊者は大企業だ

富山県高教組 黒田 英夫さん

画像 G8対抗行動に参加した黒田英夫さん(富山県高等学校教職員組合)の感想を一部紹介します。

 「G8対抗行動」をなぜ農業関係者がとりくむのか? 京都議定書以来の大国の不誠実さを告発することは、農業の存亡をかけてたたかう農民連の実践と、環境を守るという点で一致するからだろう―出発まで、私はこんなふうにボンヤリと認識していました。

 しかし、国際会議での日本を含めた各国代表の訴えには、もっとスケールの大きい、もっと執念深い、“宿命的対決”のような迫力を感じました。太陽と大地の恵みを資本のサイクルに変え、農民から土地と“耕作の権利”を奪い、巨大化したモノカルチャーがやがて食糧としてではなく、燃料としての穀物栽培を強要するに至って、「もう彼らにまかせられない」「農業を破壊しているのも、環境を破壊しているのもあいつらだ」といった、毎日自然を相手にしている人たちの積年の怒りが、世界の各地で吹き出ている様相です。

 自然農法を実践しているカナダからの報告者に、フロアからこんな質問が出ました。「家族の協力を得て自然農法への偏見を乗り越えられたのは実に見事ですが、農業だけの収入で三人のお子さんを育てられたのは大変だったでしょう」―「大変でしたが、その部分は心配ありません。カナダでは大学を除いて、教育費は基本的に無料ですから」

 彼女とその家族のたたかいを、大げさに言えばカナダの教育条件が支えていた―急に自分が高教組の人間であることを自覚しました。世の中のたたかいはすべてつながっていると、以前にも実感したことがありましたが、今回もしかりです。

(新聞「農民」2008.8.11付)
ライン

2008年8月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2008, 農民運動全国連合会