G8サミット対抗行動
国際フォーラム発言から
作るのは輸出用の農作物
自らの食糧は買う立場に
タイ カティン・カーサさん
私たち貧民連合は一九九五年に設立され、農民のほか、ダム・森林問題に取り組んでいる人々、都市部の貧しい人々、労働者などから成り立っています。
現在、私たちの農業そのもの、土地、森林、水に対する権利が損なわれている状況にあり、私たちの生活が脅かされています。
タイは人口の七割が農家の農業国です。タイ農民が生産するのは、自分たちが消費する農作物ではなく、商品作物です。それを売って、利益を得るのは、貿易業者、多国籍企業です。タイ農民は、農産物を商品として購入しなければなりません。
タイは多くの米を輸出しています。世界はいま、米の危機に直面し、米の価格が倍に高騰しています。タイの農家は、それで潤うどころか、売る価格が低く抑えられたままです。
誰が利益を得ているのか。農業・食糧危機の進行と同時に、バイオ燃料の生産が盛んに行われています。それをアグリビジネス、多国籍企業が進めているわけです。農家にたいしても契約型農業という形で、バイオ燃料を得るために、油やしやトウモロコシの生産を盛んにすすめています。こうして食糧生産のための土地は減っていく傾向にあります。もはや農家は、自分たちで生産のあり方を決めることができないところまで追い込まれているのです。
私たち貧民連合の運動は、文化的で持続可能な有機農業を維持しようという動きにつながっています。そしてフェアトレード、消費者と生産者の直接的つながりを求めるとりくみ、遺伝子組み換え作物に反対するたたかい、小規模農家を痛めつけアグリビジネス、多国籍企業を利する政策に反対するたたかいを続けています。
それは、生産者が生産のあり方を自ら決め、食糧の分配、流通、消費者に届ける公正なメカニズムを求めるたたかいなのです。
有機農業に誇りもって
地域で青年支援の農場も
カナダ イネケ・ブーイさん
ビア・カンペシーナ北米地域とカナダ農民組合連合を代表して報告します。私は一九八〇年に夫、子どもとオランダからカナダに移住し、現在二百四十ヘクタールの農場と、七十五頭の酪農を営んでいます。
就農当初の数年間は、化学肥料・農薬を使った慣行農法をしていましたが、化学物質や農薬が農地に蓄積して生き物や子どもたちに危険だと疑問を感じ、近所の人と、化学薬品を使わない除草の方法などの新しい農法の勉強会を始めました。
しかし、周囲の農家の多くはモンサントやカーギルなどから教わるような農法を続けていたこともあって、何年かは周囲の農家から孤立し、新しい農法への切り替えは、とくに夫にとっては、難しく辛いことでした。
しかし私たちは新しい農法を続け、外から購入するものを少なくし、燃料や電力しか買わない、自給自足的な農業を誇りを持って実践してきました。アイスクリームやヨーグルトなど牛乳の加工も始めましたし、今では風力発電や、農作物の残りで環境にやさしい燃料も使っています。
今、私たちの農場は、人びとが訪れ、楽しめるオープンな農場になっています。子どもたちが動物に親しんだり、親たちは自分たちの食べ物がどういう所で作られているかを実際に見て、知ることができます。
また、大学生に土地の一部を貸し与え、野菜を作るという地域支援農場の試みも始めました。これは消費者からシーズンの初めに六百ドル出資してもらい、学生たちはそのお金で種子や機具を購入し、銀行から借金することなく、地域に支えられた形で農業を始められるというものです。私たちは直売所もやっており、肉や乳製品のほか、青年たちの野菜も販売しています。青年たちが、土地に根づいた労働と生活こそが素晴らしいと感じてくれているようで、うれしく思っています。
(新聞「農民」2008.8.4付)
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