メディアセンター取材記新聞「農民」の存在の大きさ実感
G8洞爺湖サミット(七月七日〜九日)では、新聞「農民」が外務省から初めて報道機関として認められ、Newspaper NOUMINと表示された取材記者証を取得しました。サミット開催中の三日間、札幌市から車で片道約二時間かかる留寿都(るすつ)の国際メディアセンターで取材ができました。 厳重なセキュリティー・チェックを通って、自分たちの席を確保することから一日が始まります。メディアセンター内は三日間、海外・国内メディアで“満席”状態。とくに初日は、ロシアの通信社が陣取っていたスペースのわずかな空席に何とか割り込むことができました。 ただし、席は確保したものの、座って作業する時間はほとんどなく、政府の記者会見とブリーフィング(報道機関向けの会議報告)、NGOによる記者会見など、情報集めに忙しく駆け回った三日間でした。 肝心なサミットそのものはどうだったのか。食糧・気候危機の解決を真剣に話し合う首脳会議であるはずなのに、日程をみると、連日のようにランチやディナー、写真撮影、社交行事ばかりが目につきました。 三日間の取材で、海外・国内のメディアの記者たちと一緒に仕事ができたことは、新聞「農民」が食糧・農業や気候問題に果たす役割の大きさを実感させるものでした。
四日から六日まで札幌、岩見沢両市で、食糧主権の旗を掲げたビア・カンペシーナと農民連、食健連による対抗行動を取材できたからこそ、G8首脳の無策ぶりがより鮮明になった、今回のサミット取材でした。 (勝又真史)
貴重な役割果たしたNGOの声留寿都の豪華なスキーリゾートに特設された国際メディアセンター。世界中から四千人のマスメディアが集まったとあって、その巨大さ、豪華さは驚くばかりでした。ところがこのスキーリゾート、地理的にはいわば「陸の孤島」。札幌などで繰り広げられた市民の対抗行動の取材との両立が不可能で、多くのメディアは、各国政府が発表する内容をそのまま報道せざるを得ない、というのが実態だったのではないでしょうか。 こんな貧しい情報しかないメディアセンターにあって、積極的に情報を発信し、多くのメディアの注目を集めたのが、環境、貧困・飢餓、途上国開発などのさまざまなNGOでした。これらのNGOが、一日中、入れ代わり立ち代わり、共同で記者会見を開いていて、新聞「農民」記者の私たちも廊下を行ったり来たりして取材しました。
ある環境NGOの理事は「今回のサミットの一番の成果は(前回のハイリゲンダム・サミットから)“後退しなかった”こと」と皮肉っていました。つまり、それほどまでに温暖化対策をめぐる日本政府の後ろ向きの姿勢が危ぐされた、と言うのです。 国連などの国際会議では大きな発言権を持つようになったNGOですが、サミットでNGOの専用スペースが設けられたのは洞爺湖サミットが初めてなのだとか。NGOの発する声は、食糧危機も、投機マネーやアグロ燃料の規制も、「細かいこと」で済ました首脳会議の情報だけでは伝わらない、本当の問題点を浮き彫りにし、貴重な役割を果たしていました。 (満川暁代)
(新聞「農民」2008.8.4付)
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[2008年8月]
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