「農民」記事データベース20080804-839-02

岩手・宮城内陸地震から1カ月

農業被害の深刻さ、じわじわ

復旧遅らす激甚「局地」指定に怒り

関連/群馬・西毛農民連がシンポ


 地震発生から一カ月。崩壊した道路の復旧や土砂でせき止められた“自然ダム”の排水などが進むなか、農業関係の被害状況が徐々に明らかになってきました。

 政府は激甚災害の指定をしましたが、「局地」に限定しました。このため、被害が大きいのに指定からはずれた奥州市胆沢地区などでは、農地・農業施設の復旧のための補助事業を受けようとすると「測量設計委託費」を自己負担せざるをえないなど、どうしても自己負担が増えてしまいます。激甚並みの独自の対策が求められます。

 胆沢農民組合の役員会では、こうした制度を学習しながら「長野県栄村の『田なおし事業』のように、民間業者と農家が直接やりとりして復旧工事をやった場合、それに補助を出させる仕組みを市に求めていくことが必要ではないか」など話し合っています。県連が地震の経験を持つ新潟県農民連に相談すると、「中越沖地震では、県単独の『手づくり田なおし事業』がかなり活用された」とのこと。こうしたアドバイスも参考にしながら、今後の対策を検討しています。

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地震で陥没した青森県五戸町の田んぼ

 また震度6強青森、岩手など襲う

 またも東北地方を襲った地震―七月二十四日未明、岩手県沿岸北部や青森県東部を中心に震度六強の地震があり、岩手県久慈市や洋野町、青森県八戸市や五戸町などで大きな被害に見舞われ、負傷者は二百人余りになっています。

 また、水田の崩壊やハウスの倒壊など農業施設や農地への被害も、出ています。青森県五戸町や六戸町など数カ所で水田が陥没し、水がなくなっています。早急な応急措置が求められています。


岩手・宮城県連からお礼状

 岩手・宮城内陸地震にあたり、心のこもったお見舞いをいただきありがとうございました。

 組合員に人災はなかったものの、日数が経つごとに農地被害などの実態が明らかになり、深刻さを増しています。山間部の地震とあって、農業復興にむけた意欲がそがれている農家も数多いというのが現状です。県連としても復旧のための手立てを行政にはたらきかけながら進めているところです。いただきましたお見舞いは、生活・農業経営の復旧に活用させていただきます。重ね重ね御礼申しあげます。

 農民運動岩手県連合会 会長 久保田彰孝
 宮城県農民運動連合会 会長 鈴木 道夫

【義援金ありがとうございました】

 新潟=新潟県農民連、茨城=鹿行農民組合、愛知=新城農民組合、岐阜=岐阜県農民連、山口=吉村宏、鹿児島=東膳和子、沖縄=浅海美幸


群馬・西毛農民連がシンポ

食糧・農業・温暖化で
広範な14団体に呼びかけて 盛会

画像 群馬県連・西毛農民連は七月十九日、高崎市にあるJAたかさき本店で「食糧・農業問題と環境・温暖化」をテーマにシンポジウムを開き、百四人が参加しました。このシンポジウムは、G8サミットに対抗する「エコ・グリーンウエーブ」のなかで、西毛農民連が初めて取り組んだもので、JA県中央会、JAたかさき、農業会議所、新婦人が後援し、地区内の三つの農協、各政党、労働組合など十四団体に参加を呼びかけました。

 最初に、農民連の笹渡義夫事務局長が「温暖化・食糧問題と食糧主権」をテーマに基調講演を行いました。笹渡さんは、世界に広がる食糧危機の実態とその要因を明らかにし、“食糧主権の確立”を掲げてビア・カンペシーナ海外代表らと取り組んだG8洞爺湖サミット対抗行動を報告。一方、「何の解決策も見出せなかったG8は、最悪のサミット」と批判し、“増産”を前面に地域から生産の取り組みと農政転換を求めて「いまこそ農家ががんばる時だ」と呼びかけました。

 パネルディスカッションでは、群馬県農民連産直センター代表の下田嘉丈さん、高崎市下滝田町の農家・井田宗男さん、高崎市立八幡中学校の管理栄養士・梅山之子さん、高崎市認定農業者協議会の木村一彦副会長、新婦人高崎支部の木村香織事務局長の五人が、地域の食糧・農業の実態や環境問題について、体験にもとづいて発言。会場からも「たいへん勉強になった」との発言や感想も出され、農民連への期待が大きく広がる取り組みとなりました。

(群馬・西毛農民連 真木肇)

(新聞「農民」2008.8.4付)
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2008年8月

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