「農民」記事データベース20080728-838-06

本の紹介

大野和興・西沢江美子著
「食大乱の時代」


貧困の連鎖たち切る道を
「食料主権」に求めている

画像 本書は、農業・食糧問題のジャーナリストで、アジア農民交流センター・脱WTO/FTA草の根キャンペーン世話人の大野和興さんと西沢江美子さんが、「人々の生存を支えてきた農民世界が解体されつつある」という現状認識の下に、長年取材でつちかってきた豊富な経験やデータ、多くの事例を紹介しながら、その根本に「貧困の問題」があることを明らかにしています。

 山形・白鷹町の百姓集会での農民の叫びや、農地を引き剥(は)がされるアジアの農民の苦悩とたたかいに、農民をおそう貧困を探り出しています。そして、食を扱う企業で働く人々―牛丼チェーンの“名ばかり店長”やファストフードで働くパートの女性たち、そして非正規雇用の青年たちに目を向け、いま食べる現場にも貧困が押し寄せていると警鐘を鳴らします。

 国あげて食育を推し進めている日本。その一方で、生活保護が打ち切られ「おにぎりが食べたい」と言って餓死する人がいるという現実。本書では、貧困の連鎖を断ち切る対抗軸として「食料主権」をあげ、その内容とビア・カンペシーナの「食料主権の確立」に向けた運動を詳しく紹介し、「私たち自身が足元でなにができるのか」、いくつかのたたかいと事例を通じて、「食の問題に取りくむことは、くらしの場、働く場を丸ごとつくりかえることほかならない」と結論付けています。

▼定価 1800円+税
▼出版 七つ森書館 TEL 03(3818)9311

(新聞「農民」2008.7.28付)
ライン

2008年7月

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