G8サミット対抗行動国際フォーラムでの
ビア・カンペシーナ国際代表
ヘンリー・サラギさんの基調報告
関連/食品分析センター募金者氏名(敬称略)
ビア・カンペシーナ国際代表のヘンリー・サラギさんが「食糧主権・気候変動に関する国際フォーラム」(七月四日)で、基調報告を行いました。その一部を紹介します。
食糧危機・気候危機解決へ
小規模農民も力を発揮
参加者の皆さん、この対抗行動を組織してくださった農民連・食健連のみなさん、ありがとうございます。世界の大多数である小規模農民、土地なし農民、農村に住む人々が、気候変動と食糧危機という二つの危機に直面
しています。
投機資本大もうけ
私たちはWTO(世界貿易機関)や、FAO(国連食糧農業機関)、G8サミットなど重要な国際会議のたびに、行動してきました。それは、新自由主義を推し進める政府や多国籍企業に操作された情報ではなく、世界で何が起きているかという真実を知らせ、私たち小規模農民の声を、そして食糧主権を知らせなければならないからです。
今の食糧危機は、農産物貿易の自由化や、市場開放によって引き起こされたものです。WTO発足後、すべての国で農業分野の自由化、食糧の輸出入の規制緩和が行われ、たとえ農業生産国であっても、多国籍企業が支配する輸入農産物に依存することになりました。
しかしWTOやFAOは、貿易の自由化によって食糧危機を解決するという「食糧安全保障」をさらに推し進めようとしています。これは多国籍企業やアグリビジネスの食糧支配をさらに強めるものであり、非常に危険で、食糧危機解決の希望は見出せません。
そして、食糧生産を少数の多国籍企業が支配する体制を作ったうえで、農産物を飢えた人びとにではなく、自動車に与える「アグロ」燃料に変えており、それが食糧危機の原因にもなっています。
さらにこの食糧危機によって、投機資本や多国籍企業が大きな利益を得ています。しかし小規模農民はまったく利益を受け取ることなく犠牲になっています。
食糧主権の立場で
今、私たちが直面している「気候変動」は、単なる気候の「変動」ではなく、気候の「危機」です。先進諸国の打ち出しているCO2排出量取引は、先進工業国がこれまでやってきた工業や消費のしかたを、発展途上国に押し付けているにほかならず、真の解決策とはなりません。
私たちは、私たちの命、地球を、多国籍企業や一部の政府にまかせていくことはできません。私たち自身のオルタナティブ(=対案)を示さなければいけません。
今の食糧危機・気候危機を解決するには、食糧主権という立場に立って、小規模農民の手を通して解決すべきだと考えます。小規模農民、そして家族農業によって農業は行われるべきです。
産直運動を広げて
私たちは、産直運動について学んできました。今、日本の皆さんが、この産直運動について、もっと広く世界に説明すべき時にきています。先月のフォーラムで真嶋さん(農民連副会長)は「TSUNAMI(津波)のような言葉だけでなく、SANCHOKU(産直)のような言葉を国際語に」と発言しました。
たたかいは続きます。しかし成功する希望を大きく持っています。連帯の波を起こして、調和と、正義に満ちた新しい世界を一緒に作っていきましょう。
食品分析センター募金者氏名(敬称略)
5月19日〜6月30日
岩手=工房地あぶら、福島=浜通り農産物供給センター、茨城=神尾文江、茨城県西食健連、埼玉=本葉カツ子、千葉=新婦人鬼高班、千葉退職教職員の会有志、東京=桐生陽子、藤田イツ子、関戸てる子、千葉田鶴子、石黒昌孝、神奈川=加藤譲、富山=山崎正登、石川=徳永阿里、岐阜=三品寿子、高井スミ子、高木尚子、水越甲子、粥川しげ、原千代、亀山恵美子、静岡=(有)たちばなファーム
(新聞「農民」2008.7.28付)
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