「農民」記事データベース20080728-838-01

重油・肥料など高騰
ハウス農家悲鳴!

求められる国の即効性ある対策

関連/米屋さんと生産者をつなぐ交流会

 重油や肥料など生産資材価格の大幅な値上がりに、農家が悲鳴を上げています。今後も原油高は続きそうで、さらに年明けには電力会社も値上げの予定。しかし、コスト高を簡単に農産物価格に転嫁できるわけではありません。国に早急な対策を求める声が高まっています。


肥料最大114.6%アップ
A重油05年比3.3倍にも

 50%の値上げで40万〜200万円減

グラフ 化学肥料の約六割のシェアを持つJA全農は七月一日、二〇〇八肥料年度(〇八年七月〜〇九年六月)の肥料価格を発表。尿素やりん酸、カリなど肥料原料の急騰(グラフ)で、前年度より最大一一四・六%(硫酸カリ)の大幅な値上げとなりました。中央農業総合研究センターの調査によると、五〇%の値上げで農業所得は四十〜二百万円の減。百%値上げで八十〜四百万円の所得減というショッキングな予測を明らかにしています。

 施設園芸が盛んな埼玉県北部。深谷市にある埼玉産直センターの専務、山口一郎さんは「規模拡大した担い手ほど打撃が大きい。このまま高騰が続けばバタバタ倒れる。上がらないのは農産物の価格だけ」と、生産資材の高騰と低価格の挟み撃ちになっている事態を指摘します。埼玉産直センターが共同仕入れしているハウス用A重油の価格は、〇五年十二月で一リットルあたり三十八円でしたが、〇六年には六十八円、〇七年九十二円、そして〇八年七月には百二十六円に高騰。〇五年比で実に三・三倍です。

上昇分を価格に上乗せできず
長びけばバタバタ倒れる例も

 農産物価格が上がればいいが

 およそ三十アールのハウスでミディ(中玉)トマトを生産している八須(やす)優樹さん(45)は、十一月下旬から四月上旬までの間、ハウス内を一〇・五度に保つために年間約三十キロリットルのA重油を消費します。これだけで昨年より約六十万円の経費増です。八須さんは、「肥料は主に、産直センターの肥料工場で作っているボカシを使っているので、なんとか助かっている」そうですが、ボカシの原料となっている大豆カスは、今年二月の価格に比べて一・五倍以上も値上がりしています。

 
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埼玉産直センターの有機肥料発酵施設

 こうした生産資材の高騰で、農家の経営はたいへんです。航空会社は燃料代の上昇分を航空運賃に上乗せしてコスト高を回収できますが、農家はそうはいきません。なんとか農産物価格が上がってほしいところですが、「農家がコストをさげようと、収穫が重油を使わなくてもいい時期に集中してしまって、さらに農産物の価格を下げている」のが実態です。「私らは産直センターを通 して売り先と販売価格がしっかりしているからやっていけるけど、市場まかせの農家はたいへんだ」と八須さん。

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トマトハウスの前で八須さん(左)と山口さん

 高騰の原因は投機マネー暴走

 原油高騰の原因になっているのが、投機マネーの暴走です。G8洞爺湖サミットでは、気候危機や食糧危機の対策とあわせて、投機マネーの規制が重要なテーマでしたが、G8議長国の福田首相は、「細かな問題」とテーマにもあげず具体的な施策をなんら打ち出しませんでした。

 国は、施設園芸の省エネ化への補助事業やあらたな融資を打ち出していますが、「三人以上で申し込まないと使えない」「返さなければいけない融資では、将来の見通しがたたず使えない」などと不評で、農家の自助努力も限界です。燃料代への直接補てんなど、即効性のある対策が緊急に求められています。


“米屋と農家の共同で 自給率向上と温暖化防止を”
米屋さんと生産者をつなぐ交流会
東京会場
8月24日(日)午後2時〜(交流会)、
4時半〜(懇親会)
大阪会場
8月3日(日)午後2時〜(交流会)、
5時半〜(懇親会)
会場 大阪府私学教育文化会館ホール(JR東西線「大阪城北詰駅」徒歩2分) 会場 東京・文京区民センター3階会議室(地下鉄三田線または大江戸線「春日駅」徒歩0分、地下鉄丸の内線「後楽園駅」徒歩5分)
参加費 無料、ただし懇親会は3000円 参加費 無料、ただし懇親会は3000円
申し込み 農民連近畿米ネット TEL 06(6965)3900
FAX 06(6965)2901
申し込み 農民連ふるさとネット TEL 03(3590)1337
FAX 03(3590)9524

(新聞「農民」2008.7.28付)
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2008年7月

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