本の紹介
涌井義郎・舘野廣幸著
「(解説)日本の有機農法」
だれでも安心してとりくめるよう
技術をわかりやすく解説
NPO法人有機農業推進協会の涌井義郎さんと舘野廣幸さんが、だれでも安心して有機農業に取り組めるよう、土作りから病害虫回避、有畜複合農業まで、できるだけわかりやすく技術解説した本です。各ページには、関連する用語解説がコラム風に親しみやすく書かれています。なお、涌井さんはいぜん、新聞「農民」に「土づくりと有機物の使い方」を連載していました。
「みんなの有機農業」講座を開設し、みずから技術指導にあたっている舘野さんは「はじめにー有機農業を志す人へ」のなかで、「有機農業を農薬と化学肥料の代替農業とみるのは誤解であり、生命の働きによって生命を生み出すのが、有機農業」であり、その世界は「限りない発見と驚き、そして感動に満ちているに違いない」と呼びかけています。
また鯉渕学園農業栄養専門学校の教授でもある涌井さんは、有機農業の理念・目標を「環境を損なうことは将来の人の生存そのものを危うくすることであると認識し、…人と他の生命をともに育み、その健康を促すこと」と述べています。
そして有機農業の要点は「基本技術に徹すること」。そこで、まず「土作りの技術」では、根菌微生物、緑肥作物、有機物マルチ、育苗土の作り方を解説。さらに作物管理、病害虫回避、水田稲作の有機農法、動物と共生する有機農業、資源循環・省エネ、不耕起栽培など、有機農業の技術を網羅しています。巻末にある用語検索も充実し、有機農業をはじめようという人、関心がある人、そしてすでに実践している人にも、参考になる一冊です。
▼定価 3000円+税
▼筑波書房 TEL 03(3267)8599
(新聞「農民」2008.7.14付)
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