ルール作って地球をクールに
地球温暖化の実態と解決に向けた課題
NPO気候ネットワーク代表 浅岡恵美さんの講演
NPO気候ネットワーク代表の浅岡恵美さんの講演「地球温暖化の実態と解決に向けた課題」から、一部を紹介します。
どう行動すれば…
危険な気候変動の悪影響を防止するために、気温の上昇を産業革命前に比べて二度以内に抑える必要があります。世界はすでに気候の安定に向けて動き出しています。私たちはどう行動しなければならないのでしょうか。
洞爺湖サミットは、二〇五〇年までにCO2排出量を世界で半減するとのハイリゲンダム・サミット(ドイツ)での合意をさらに前進させ、二〇〇九年末にコペンハーゲンで開かれるCOP15(国連の気候変動枠組条約締結国第15回会議)で二〇一三年以降の枠組みについて包括合意に至るための重要なステップになる会議です。そういう点で、議長国である日本は重い責任を負っており、また国際社会から期待もされています。
ところが、福田首相がG8サミットを前に発表した「福田ビジョン」なるものは、サミット議長国として世界の取り組みをリードしようという目的も気概もうかがうことはできず、経済界の主張を正当化するものでしかありません。日本政府も経済界も中期目標を持ちません。長期目標を達成するのに、中期目標を持たないでどうするのか。「夢のような革新的な技術が開発されて、一挙に削減できる」と言うんですね。これでは、子どもたちは今から地球平均で四度も暑くなった世界に住まなければならなくなります。こうした経済界とまったく同じなら、政治を変えるしかありません。
合意妨害する首相
その点、ヨーロッパは違います。温暖化防止のためにできることは何でもしなければならないし、そうしないと破壊的な被害が生まれると受けとめています。
昨年十二月にインドネシア・バリ島でCOP13が開かれ、地元の新聞にNGOが「国際合意を妨害する三人組」として、アメリカのブッシュ大統領、カナダのハーパー首相、そして福田首相の顔写真を載せました。アメリカは今年の大統領選挙でブッシュが交代しますから、必ず今の政策よりはましな政策に変わります。アメリカが変われば、必ずカナダも変わります。では日本はどうかというと、「福田ビジョン」のままではただ一人、もしかするとロシアの大統領と並んで「国際合意を妨害する組」に残るでしょう。
「気候保護法」提唱
気候ネットワークでは、将来世代に安全な大気と生活を引き継ぐために「気候保護法案」を提唱しています。これは、短期・中期・長期の目標を定めて、その達成のためにどんな施策が必要なのか、国内排出量取引制度や炭素税などの導入、再生可能エネルギーの促進策などを取り上げています。そして、“Make The Rule=ルールを作って、地球をクールに!”を合言葉に、温室効果ガスの少ない持続可能な日本を作りましょう、と呼びかけています。
(新聞「農民」2008.7.14付)
|