秋田で菜の花フェスティバル
満開の花畑に1万5000人
地球を元気にするリサイクルに向けて
摘み取り体験・料理教室・搾油
実演・バイオ燃料実験など多彩に
「菜の花を活用する資源循環サイクルは、ふるさと秋田そして地球を元気にします」―五月三、四日に開催された菜の花フェスティバルには、八ヘクタールで満開となった菜の花の見事な風景に、約一万五千人が訪れました。
主催は、農民連も参加するNPO法人あきた菜の花ネットワーク、秋田県立大学、県で構成する実行委員会。
ここは、かつて大手製紙企業の進出のために、県が秋田港の海面を埋め立て、百億円かけて造成した場所の一部ですが、海の汚染を許さず、漁場を守る県民の運動が広がり、企業の進出がとん挫。長い間荒地で塩分が多く、水分、肥料分がまったくない砂地で、日本海の強風が吹きつける過酷な条件のもと、農地とはいえないところです。
昨年九月には、播種(はしゅ)直後の集中豪雨で畑が水浸しとなり、うまく育つか不安だらけでした。しかしナタネの生命力はすごい。関係者の必死の肥培管理が実り、見事な花を咲かせました。実行委員長の佐藤了(さとる)県立大学教授は「この悪条件下で、菜の花はりっぱに咲きました。耕作放棄地の活用に役立ててほしい」と語っていました。
会場では、ひばりがさえずり、ミツバチが飛びかい、海風が心地よい絶好の花見日和のもと、菜の花摘み取り体験やナタネ油を使った料理教室、ナタネの搾油実演、バイオディーゼル燃料の実験、ナタネ油の販売など、多彩なイベントが行われました。
(秋田県農民連 佐藤長右衛門)
国産ナタネが危ない
今年度で助成打ち切り
国産ナタネが危ない――。農家の経営を支えてきた国の助成事業「高品質なたね産地確立対策事業」が二〇〇八年産を最後に打ち切られようとしています。国産のナタネを栽培し、油を搾るなどしてきた農家や、安全・安心なナタネ油を求める消費者にとって、助成金打ち切りは、国産ナタネの灯が消えるかどうかの重大な選択を迫られることを意味します。
農家の収益の約四割を占めるナタネ助成金。これがなくなれば、生産費さえも下回り、採算割れを引き起こす農家が続出することは必至です。
食用油や飼料・肥料として、またバイオディーゼル燃料としてトラクターを走らせるなど循環型農業の代表格として活躍してきたナタネ。大豆、小麦、ジャガイモ、ソバなどとの輪作体系作物としても地域の農業と環境を支える役割を果たしています。
一方で、ナタネは現在、ほとんどを輸入に頼り、自給率はわずかに〇・〇四%。遺伝子組み換え(GM)ナタネの作付割合が八四%を占めるカナダから九三%を輸入している日本にとって、GM食品が私たちの食卓にのぼる割合は約八割になります。
さらにナタネの国際価格は、EU(欧州連合)を中心としたバイオディーゼルの原料としての需要拡大を受けて上昇しています。
GMナタネが増え、国際価格の上昇のなか、国産ナタネを守る意義は大きくなっています。
ナタネ栽培定着にも助成が必要
秋田県能代市で菜の花を栽培する小林秀彦さん(55)
耕作放棄地を利用してナタネを栽培し、油を搾って学校給食や家庭などで使い、その廃食油を回収してバイオディーゼル燃料として再利用する取り組みが近隣市町村にも広がっています。
多くの農家が助成がなくなったとき、これから先、続けられるのかどうか不安に思っています。これからもナタネを継続して栽培し、こうした取り組みを定着させるためにも、助成は必要です。
(新聞「農民」2008.6.9付)
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