乳価上げ、飼料抜本対策を
農民連・畜全協が畜産中央行動
農水省交渉・国会前集会…
農民連と畜産農民全国協議会(畜全協)は五月二十八日、都内で畜産中央行動に取り組み、宮城、茨城、静岡、岡山から酪農家らが参加。明治乳業の不当差別とたたかう明乳争議団もともに行動しました。
参加者は、国会議員要請のなかで、「畜産対策をとるよう、政府に働きかけてほしい」と、衆参両院の農水委員に要請書を手渡しました。
その後、国民大運動実行委員会などの国会前集会に合流。農民連の笹渡義夫事務局長が「後期高齢者医療制度と同様に、食料・農業問題でも政府の施策は行きづまっている。今日の集会を飛躍の契機にしよう」と主催者あいさつしました。
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訴える森島畜全協会長(国会前)
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畜全協の森島倫生会長は「えさ代の高騰が、酪農・畜産農家の生活を瀬戸際まで追い込んでいる。日本の畜産・酪農を守ろう」と呼びかけました。
農水省との交渉では、(1)乳価三十円の引き上げ、加工乳・チーズ用乳への助成(2)肉用牛、養豚、養鶏に特別
マル金など畜産経営安定対策の実施(3)飼料高騰対策、国産飼料増産のための抜本的対策の実施―を求めました。
「乳価は、生産者とメーカーとの交渉で決まり、政府の関与は難しい」と無責任な答弁に終始する農水省。これにたいし「約半数が赤字経営。約一割がやめた」(茨城)、「えさ代が牛乳代の半分以下であれば、もうけはあるが、いまは三分の二以上を占め、もうからない」(宮城)などと実情を訴えました。
さらに「農家の実態を把握せよ。BSEのときのような緊急対策を実施せよ」と強く求めると、「乳価の引き上げは必要。そのための努力はする」と答弁しました。
明乳本社にも要請
中央酪農会議、明乳本社にも同様の要請を実施。中央酪農会議の担当者は「期中改定は必要だ」と述べました。明乳は、懇談を拒否。茨城県から参加した酪農家が「私は明乳に出荷している生産者です。うちに来る社員は『明乳と生産者は夫婦同然です』と言っています。本社は違うんですか」と問いただしましたが、玄関先で要請書を受け取るにとどまりました。
静岡・浜名酪農業協同組合の上野大助さん(51)は「飼料が高く、乳価が安いというのは酪農家に共通した思い。交渉で言うことは言ったが、もっと役人を動かす工夫が必要だ」と述べました。
宮城県丸森町から来た菊地祐一さん(80)は「農水省は酪農の実態をつかんでいるのか。酪農家の声を一つにすることが大事です」と語っていました。
(新聞「農民」2008.6.9付)
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