「農民」記事データベース20080602-830-04

政府の経済財政諮問会議

財界の要求を丸のみ

企業参入と大規模化の“農地改革”

関連/食品分析センター募金者氏名(敬称略)


 福田首相が議長を務める経済財政諮問会議は五月十四日、「農業改革」をテーマに議論。このなかで、御手洗富士夫キヤノン会長(経団連会長)などの財界代表と新自由主義をかかげる大学教授ら四人の民間議員は、九項目の政策パッケージ「消費者のための農業改革を〜“企業型農業経営”と“平成の農地改革”で食料自給力をつける」を発表しました。

 自給率を逆手に

 これら民間議員は「農業を取り巻く国際環境は、潮目が大きく変わりつつある」「この潮目の変化を強い農業、強い担い手を育てるチャンス」と述べ、大規模化と企業参入による“企業型農業経営”の推進、企業の農地所有を可能にする「農地改革」をパッケージとして取りまとめるよう、強く求めました。具体的には、農地の所有と利用の分離や、農業生産法人の役員要件を大幅緩和(農家が「過半数」から「一人以上」に)、農地をいっそう自由に選択できる農地リース方式の見直しなど。

 民間議員はこれまで、WTO・FTAの推進による「市場開放」と「農地改革」を柱にしてきましたが、今回は自給率向上を求める国民の“潮目”を逆手にとって、“自給力”を口実に「九項目の実行宣言をあげろ」と露骨に求めています。

 ゴルフ場といっしょ

 伊藤忠商事の丹羽会長はこの会議のなかで、「十五ヘクタール以上に大規模化すれば、米の生産コストは五〇%も下がる。五十ヘクタール、百ヘクタールにすれば(中国の米とも)確実に競争できる」、「(農業も)アメリカのファンドがやるゴルフ場の経営といっしょだ」と述べ、そのためには「農地改革」が必要だという論法です。

 五十ヘクタールや百ヘクタールに大規模化できる条件が、いったいどこにあるのか。そして規模の大きな農家がもっとも深刻な経営を強いられている現実を知っているのか。たとえ話にしても、“アメリカのファンドがやるゴルフ場の経営”を持ち出し、ゴルフ場(=ゲーム)と農業の経営をいっしょに論ずるとは、なんという“経営感覚”でしょうか。

 これに対して、福田首相は「農業が変わったと誰もが認めるような政策が“待ったなし”に必要。九項目はその突破口になるのではないか」と評価するありさま。若林農相に、今秋までにプランを作るよう指示しました。財界の要求を丸のみする福田内閣に、日本の農業再生をまかすわけにはいきません。


ありがとうございました

食品分析センター募金者氏名(敬称略)

08.3.26〜5.8

 北海道=新婦人函館支部赤川班 秋田=国際女性デー秋田県集会 山形=菊地喜英 栃木=海老原京子 茨城=三村喜一、常陸野産直センター 埼玉=塩出由美子 千葉=金野隆光、柏生活クラブ、柏市消費者の会 東京=加藤明、石黒昌孝、新婦人練馬光が丘21班、新婦人千代田支部、八田純人 神奈川=奥出孝子、藤田一衛 山梨=石川昇 長野=飯伊農民組合大豆トラストの会、小林節夫 富山=コープ富山、富山食健連 石川=佐藤奨子 和歌山=小林民憲、和歌山県農民連 兵庫=新婦人須磨支部 山口=吉村宏

(新聞「農民」2008.6.2付)
ライン

2008年6月

農民運動全国連合会(略称:農民連)
〒173-0025
東京都板橋区熊野町47-11
社医研センター2階
TEL (03)5966-2224

本サイト掲載の記事、写真等の無断転載を禁じます。
Copyright(c)1998-2008, 農民運動全国連合会