イラク派兵は憲法9条違反
名古屋高裁が画期的な判決
名古屋高等裁判所は四月十七日、自衛隊のイラク派兵差し止め訴訟の控訴審判決で、航空自衛隊の空輸活動は「他国による武力行使と一体化した行動で、自らも武力の行使を行ったとの評価を受けざるを得ない」として、「イラク特措法に違反し、憲法九条一項に違反する活動を含んでいる」とする画期的な判決を下しました。
政府はこの判決に従い、ただちにイラクから自衛隊を撤退させるべきです。ましてや「そんなの関係ねえ」(田母神航空幕僚長)と無視する態度は、絶対に許されません。
61歳迎える憲法に最良の贈り物
弁護士の佐藤博文さん(自衛隊イラク派兵差止訴訟全国弁護団連絡会議・事務局長)の話
法廷で判決文を聞いていたら、途中から涙が出てきました。特に「イラク特措法について、政府の合憲解釈に立ったとしても」という件(くだり)では、実に堅い判断をしたなと思うと同時に、専守防衛の立場から全国で一番最初に提訴した故・箕輪登さんの遺志が実ったと思いました。
判決が確定するのは五月二日です。五月三日で六十一歳を迎える日本国憲法に、最良のプレゼントを贈ることができました。
私たちに“憲法守れ”という判決だ
航空自衛隊百里基地のフェンス越しで“九条田んぼ”に取り組んでいる梅沢優さん(茨城県農民連・中央農民組合事務局長)の話
判決では、憲法前文にある平和的生存権は「憲法上の法的な権利と認められるべきだ」と明言しました。この「平和的生存権」こそ、私たち百里が、半世紀以上にわたってたたかい続けてきた原点です。不戦条項を持つ私たちの憲法は、いま世界中から羨望の目で見られています。この判決は、私たちに“憲法を守っていくことは国民の責務だ”と言っているような気がします。
(新聞「農民」2008.5.5・12付)
|