地球温暖化・食糧問題 抜本的解決へ
政府は主導権を発揮せよ
G8サミットにあたって 食健連、農民連が政府に要請
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公害・地球懇が、千葉県農民連からとりよせた花を配って“ストップ温暖化”と宣伝(東京・有楽町マリオン前、4月20日) |
国民の食糧と健康を守る運動全国連絡会(全国食健連)と農民連は四月二十五日、農水・外務両省を訪れ、七月のG8洞爺湖サミットを開催する日本政府にたいし、環境・食糧問題などで直面
する諸課題の抜本的解決のために、イニシアチブを発揮するよう要請しました。日本共産党の紙智子参院議員が同席しました。
外務省では、経済局課長らが対応。農水省では、食料安全保障課をはじめ、環境バイオマス政策課、国際部、総合食料局が対応しました。
要請団は、国際的な食料不足のもとでも輸入を続けているミニマム・アクセス米にたいして「食糧危機のもとで、もはや時代遅れ。輸入をやめるよう農水省内で議論し、廃止を提案すべきだ」と求めました。
日本政府が提案し、産業・分野別に二酸化炭素の削減可能量を積み上げる「セクター別アプローチ」について、「積み上げ方式では達成できない。削減目標を明確にすべきだ」と指摘しました。
申し入れの三項目は次の通りです。
政府への申し入れ3項目
(1)「新たな飢餓」対策を首脳会議の議題とし、緊急の人道的援助とともに、バイオ燃料への穀物の使用の停止、投機資本の暗躍に対する国際的規制などの措置を検討すること。
(2)ミニマム・アクセス米輸入の停止を含め、人類的課題の解決の桎梏(しっこく)になっているWTO交渉の停止を検討すること。WTOに代えて、すべての国と民衆が自分たち自身の食糧・農業政策を決定する権利である食糧主権にもとづく貿易ルールを確立すること。これは唐突なものではない。国連人権委員会は〇四年に「食糧に対する権利に重大な否定的影響を及ぼしうる世界貿易システムのアンバランスと不公平に対し、緊急の対処が必要である。いまや『食糧主権』のビジョンが提起しているような、農業と貿易に関する新たなオルタナティブ・モデルを検討すべきときである」と勧告したが、G8諸国の中でこれに反対したのはアメリカだけであり、日本を含む各国が賛成している。
(3)地球温暖化防止で求められているのは、経済のじゃまにならない範囲でほどほどに温室効果ガス削減を進めるというやり方を根本的に転換することである。とくに、日本政府が提案している「セクター別アプローチ」は、産業・分野別に削減可能量を積み上げるものであり、法的拘束力のない「自主目標」の積み上げでは、地球温暖化にストップをかけることはできない。さらに「セクター」(業界)の名目で途上国の「業界」にも削減を求めるという先進国の責任を放棄する姿勢に「各国は不安になっている」(国連気候変動枠組み条約のデ・ブア事務局長)のが実態である。「日本案は排出削減に抵抗する国内産業界に気兼ねして低い削減目標で言い逃れしようとする姿勢ばかり目立つ……EUからも途上国からも見放されて当然だ」(日経「社説」〇八年四月六日付)と批判されるのも当然である。すでに破たん済みのやり方を改め、二〇二〇年に先進国が二五〜四〇%削減するという国際社会の合意を首脳会議で確認すること。
今号は、連休のため合併号とさせていただきます。
(新聞「農民」2008.5.5・12付)
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