本の紹介
丸山美沙夫著 句集「樹氷林」
自分という人間性を養う糧に
「悪童来たれ過疎の青柿粒ぞろい」(自選十句から)――新聞「農民」の常設コーナー「農のこころ」には、「いつも楽しみにしています」という読者も多い。この「農のこころ」を担当し、時々自作も書かれている丸山美沙夫さんが、このほど三冊目となる句集「樹氷林」を上梓(じょうし)した。
丸山さんが俳句をはじめたのは一九五五年ころ。俳句を手放さず続けてきたのは、「自然や日常生活のなかからとらえた感動がそこに凝縮されている」ことと同時に、その表現の努力の中に「自分という人間性を養う糧になってきたから」だと言う。
丸山さんが定年退職して、郷里の長野県飯山市にもどって十年余が過ぎた。家族とともに農業を営みながら、「俳句の伝統を生かしながらも、今日の時代をしっかり見据えて、俳句創造をさらに希求していきたい」という丸山さん。
次なる予定は、農業問題が重大になっている時だけに農家に元気を出してもらう一助になればと、新聞「農民」に掲載された「農のこころ」を季節ごとに整理して、文庫本を出版することだと言う。農民が農作業のあいまに、作業服から句集の文庫本を取り出し、口ずさむ姿もまた晴れやかなものだと思う。
定価 2800円
発行 文学の森 TEL03(5292)9188
(新聞「農民」2008.4.21付)
|