本の紹介
柳澤 尚 著「港から見た食と農」
国内生産を励ましたい
筆者の思いひしひしと
元神戸税関職員で、全税関労働組合神戸支部委員長をしていた柳澤尚さんは、現在「農業・食糧・健康を守る兵庫県連絡会」(兵庫食健連)の事務局長。港見学の案内や、食料・農業問題の学習会講師として、各地を駆け巡っています。中国製ギョーザ中毒事件が発生して、「食と農」に国民の関心が高まっているとき、タイミングよく「港から見た食と農―自給率の危機と押し寄せる食品汚染」を出版しました。
本書は「食べ物をめぐる異常な環境」や「BSEとアメリカ牛肉」、「偽装事件の裏に何が見えるか」「遺伝子組み換え作物はだいじょうぶか」など、それぞれわかりやすく簡潔にまとめられています。また、「食品汚染・環境汚染と安全回復の取り組み」の章では、神戸港視察やシンポジウムを通じた運動の広がりも紹介されています。
資料も豊富で、農民連が作成したものや新聞「農民」に掲載された記事などから引用され、学習会のテキストに最適。「国内生産を励まし、自給率を高めることがもっとも重要。国民の不安と心配が急速に高まっている現在、食の安全を守る抜本的対策が緊急に求められている」という筆者の思いが伝わってきます。
定価 1200円+税
発行 クリエイツかもがわTEL075(661)5741
(新聞「農民」2008.4.14付)
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