ビア・カンペシーナ東南・南アジア女性交流会inインド
福島県農民連女性部 渡部チイ子さんのリポート
関連/農民連20周年記念グッズ 風呂敷 めんぱ できあがりました
ビア・カンペシーナの東南・南アジア女性交流会が二月二十一日から七日間、インド南部で開かれ、福島県農民連女性部の渡部チイ子さんと、通訳を兼ねて農民連青年部副部長の杵塚歩さんが参加しました。渡部さんの参加リポートから一部を紹介します。
貧富の差がはげしいインド――
助け合って力強く生きる女性たち
農業を切り開く未来への道みえた
自給用の食糧奪われ栄養失調に
二〇〇六年のフィリピンに続いて三回目となった今回の女性交流会。地元インドのほか、カンボジア、フィリピン、東ティモール、タイ、インドネシア、韓国、日本の総勢十五人の女性農業者と運動リーダーが参加しました。
貧富の差が非常に激ししいインド。地元の農民運動団体「KRRS」の女性リーダー、アナスヤマさんの「長い間インドの女性は物のように扱われてきた。夫が死ぬと妻も生きたまま焼き殺される風習すらあった。しかし反対運動が高まり、一九九四年を最後に行われなくなった」という話はとても衝撃的でした。今でも女性は農業を支え、家事をこなす一方で、教育や政治からは遠ざけられているのだそうです。
インドでは、一九六〇年代に「緑の革命」という農業開発が行われ、化学肥料や農薬の大量投入、購入種子の利用、単一作物の栽培などが農民に押し付けられました。その結果、自給用の食糧が奪われて農民に栄養失調が広がるとともに、農家は負債を抱え、銀行の取り立てで土地、家、ゆりかごまで奪われる事態に陥り、過去十年間で十五万人が自殺に追い込まれました。
言葉通じなくても手を取り合い
しかしこのような困難の中でも農民のたたかいが始まっています。KRRS主催の女性の地位向上を求める集会には、五千人を超す女性たちが男性の運転するトラクターのけん引車に乗って、村々から集まりました。ビア・カンペシーナの私たちも連帯あいさつし、言葉は通じなくても手を取り合い、声を張り上げてアピールしました。
また様々な有機農業の取り組みとも出合うことができました。それまで「貧しくて、買い物をしたことがなく、政府も銀行もどこにあるのか知らなかった」という女性たちが、これら有機農業の村では在来の種を管理したり、消費者活動と連帯したり、伝統的な少量多品目の農業を実践したりしていました。豊かな自然の中で助け合い、支えあって生きる姿がほほえましく、インド農業を切り開く未来への道が見えたようでした。
しなやかな女性の姿を伝えたい
困難な生活のなかで、消費者と結びつき、命の絆(きずな)を子孫に残そうと歩み始めたインドの女性たち。WTO協定のもと、同じような困難を抱えながら農業を続けるアジアの女性農業者。食糧主権をかかげ、未来を見すえて、しなやかに、したたかに活動する女性たちの力強さを、日本の皆にしっかり伝えたいと思いました。
すすんでいる遺伝子組み換え栽培
インドでは、遺伝子組み換え作物の栽培が進んでいます。葉を食べた虫が死ぬという“BT綿花”の作付割合は九割にも及び、インドの生産量は世界第二位。モンサントなどの多国籍バイテク企業が特許を独占しており、花粉の飛散のせいで遺伝子汚染された農家の側が、モンサントから特許侵害として訴えられるという訴訟事件がひん発しているのだそうです。
農薬を減らし、収益を上げると宣伝されていますが、実際には害虫の抵抗性はさらに強くなり、農薬散布量は増加。インドの食文化では重要な野菜であるナスも、遺伝子組み換えの商業作付けが危ぐされています。
来年一月に開かれる第十八回農民連定期大会は、20周年の記念大会になります。記念大会にむけた「風呂敷」と「めんぱ」の記念グッズができあがりました。
エコブームで見直されている風呂敷は、えんじに「農民」の文字と紺地に花柄の二種類あります。価格は各2000円。冷めたご飯もおいしく食べられる「めんぱ」は、おひつタイプと弁当タイプの二種類あります。価格は3500〜6500円。
申し込み・問い合わせは、都道府県農民連または農民連本部へ。
(新聞「農民」2008.3.31付)
|