農民連・明乳争議団が中央行動
生産者乳価10円以上引き上げを
飼料・資材の高騰、低乳価
酪農・畜産農家はピンチ
深刻な畜産危機打開のために、業界トップの明治乳業(明乳)は社会的責任を果たせ! 農民連、明治乳業争議団は三月十八日、明治乳業本社前(東京都江東区)、乳業協会前(千代田区)、農水省前の三カ所で、酪農・畜産を守る中央行動を行い、畜産農家、労働者、消費者ら六十三団体から四百五十人が参加。マスコミも多数取材につめかけました。
生産者・労働者・消費者が共同
明乳は社会的責任を果たせ
酪農家は仕事に誇りもっている
酪農家が苦境に立たされる一方で、史上最高益をあげる業界最大手の明治乳業。もの言う労働者を差別し、非正規雇用や長時間労働を推し進め、コスト削減を口実にした安全対策の手抜き、そして酪農家を買いたたいた結果です。
明乳本社前で、農民連の白石淳一会長は、飼料や資材高騰のなかで、畜産、酪農家から毎日のように「畜産・酪農をやめようと思っている」という悲痛な声が寄せられていることを紹介。生産者乳価の値上げがわずか一キロ三円にとどまっている問題を指摘し、「せめて十円にあげろというのが農家の声だ。明乳は、利益を農民に還元し、食の安全への社会的責任を果たせ」と訴えました。
牛の世話を家族に任せてかけつけた二人の酪農家がマイクを握りました。北海道厚岸町の石沢元勝さんは「酪農家は三百六十五日、朝晩休まず搾乳しなければならないが、この大変な仕事に誇りを持っている」と発言。「低乳価のもとで、北海道の酪農家は八千戸をきってしまった。毎年三%ずつ減っている。酪農家がいなくなれば、メーカーも成り立たない」と告発しました。
食の安全求めて
群馬県高崎市の住谷輝彦さんは「息子が酪農を継いで、大きな借金をしながら続けている。乳価が三円上がったというが、三十年間下がりつづけてきたではないか」とのべ、前橋市で畜産・酪農家が中心になって集会を成功させ、四百馬力のハーベスター、十一台のトラックを先頭に中心街をデモ行進したことを報告しました。
明治乳業争議支援共闘会議の松本悟議長は、この集会を「食の安全を求める消費者、乳価引き上げを求める生産者、賃金・昇格差別とたたかう労働者が一堂に会した画期的な集会だ」と位置付け、三者が共同してたたかう決意を表明しました。
会社は差別やめ、争議ただちに解決せよ
明乳本社前・乳業協会前・農水省前
集会後、代表六人が明乳本社内に入り、会社代表に、(1)乳価十円以上の引き上げ(2)政府に対して飼料高騰対策への抜本的な強化を働きかけること―を要請。会社側は「生産者がいないと会社も成り立たない。要望は検討したい」と答えました。
牛乳・乳製品の消費拡大、衛生・品質管理などの事業を行う日本乳業協会にも要望。乳業会館前での集会では、福島市の酪農家・佐々木光洋さん、宮城県連の鈴木弥弘さんが、赤字経営が続く酪農家の現状をのべ、「メーカーや協会は、酪農家の現状と牛乳のよさをもっと消費者にPRすべきだ」と訴えました。
農水省前では、畜産農民全国協議会の森島倫生会長が「農水省は、朝から晩まで家畜の世話にがんばっている畜産農民の声を受け止めてほしい。食の安全、畜産農民の経営が守られる政治へ大きく踏み出そう」と呼びかけました。
早朝に搾乳を済ませ、九カ月の子牛一頭をワゴン車に積んでかけつけた千葉県睦沢町の中村種良さんは、えさ高騰のなかで、生産者乳価三円にたいし、「不当だ。メーカーや小売りはえさを食べるのか。生産者にもっと手厚くせよ」と批判。「酪農は、地域の仲間との協力なしには続けられない産業だ。軸足を生産者に置いた農政へ転換せよ」と訴え、大きな拍手を浴びました。
さらに運動広げ発展させよう
明治乳業争議団の小関守団長が「メーカーは、賃金・昇格差別をやめ、労働争議を直ちに解決すべきだ。きょうの行動を通じて勝ち取った新たな出会いを大事にし、さらに広げて運動を発展させよう」と呼びかけました。
行動に参加した全日本教職員組合市川支部(千葉)の佐藤暢子さんは「毎日、学校給食で牛乳を飲んでいますが、たしかに牛乳って、生産者の苦労を考えると安いですよね。食料自給率の向上は、子どもたちの未来にとって本当に大切です」と話していました。
(新聞「農民」2008.3.31付)
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