「農民」記事データベース20080324-821-01

中国製冷凍ギョーザ

運搬に保管に石油・電力を膨大に“食う”

CO2を大量にまき散らす
地球温暖化抑制に逆行

関連/やっぱり国産がいいわあ
  /農民連食健連 厚労・文科両省に要請

 中国製冷凍ギョーザが運んでくるのは毒だけではなかった――。日本で多くの中毒患者を出した中国製冷凍ギョーザ。実は、中国から日本に運ばれてくるときに多大なエネルギーを消費し、温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)を大量にまき散らしているのです。


 シップ・アンド・オーシャン財団「船舶からの温室効果ガスの排出削減に関する調査研究報告書」(〇一年六月)によれば、冷凍食品を運ぶコンテナ船のCO2発生率は二〇・七で、石油タンカー(四・九)、穀物・石油運搬船(九・六)の四・二〜二・二倍です。

 船による輸送はトラックなどよりも「地球にやさしい」と言われますが、コンテナ船は別。そのうえ冷凍食品は、中国の工場の倉庫からトラック、船、そして日本国内の倉庫と輸送に至るまで、マイナス一八度の冷凍が必要で、ばく大な電力を浪費しています。

 しかも中国で作られてから、食べるまで三カ月〜十カ月。これもすべて冷凍が必要です。冷凍ギョーザを食べるというよりは、「農薬と石油と電力を食べている」ようなものです。

 日本の食品企業が海外で冷凍食品を製造し、日本に逆輸入する「開発輸入」は、冷凍食品の長距離輸送を伴い、地球温暖化抑制に逆行するものです。

 冷凍食品が増え続ける限り

 私たちの家庭で、CO2排出の多い割合をみると、一位が電力(一五・一%)、次にガソリン(一四・一%)、そして食料品(一三・二%)と続きます。

冷凍食品の生産量と消費量の推移 食料品の数値には、海外から輸入するときの船や飛行機からのCO2排出は含まれていません。もしこれをカウントすれば、食料品部門の排出量 はさらに増加し、冷凍食品となると、大量のエネルギーを消費していることはまちがいありません。

 冷凍食品の製造にかかるエネルギーはどの位でしょうか。日本冷凍食品協会によれば、二〇〇六年の国内冷凍食品生産高は百五十四万五千二百四トン。冷凍食品一トンを製造するのにかかるエネルギー使用量 は原油に換算して〇・二一七九キロリットルとなり、こうして計算された、冷凍食品製造に費されるエネルギー量 は三十三万六千七百キロリットルに。増え始めた一九九〇年と比べても四〇%近く増えています。

 同協会の担当者は「国内の冷凍食品生産量が増え続ける限り、CO2削減は困難」との見方を示しています。


やっぱり国産がいいわあ

横浜市の新婦人泉支部

親子で楽しくギョーザ作り

 やっぱり国産の手作りギョーザが一番――。横浜市の新日本婦人の会泉支部コロッケ班のみなさんは三月十三日、親子でギョーザ作りを楽しみ、交流しました。

 北海道産小麦の皮、国産の産直野菜と肉を食材にギョーザ作りをスタート。神奈川農畜産物供給センターの今森節夫さんのアドバイスを受けながら、一つ一つ丁寧に皮を包みます。始めてから二十分もたつと、親も子どもたちも慣れた手つきでテンポが上がってきました。

 たくさん作ったギョーザをホットプレートで焼いて出来上がり。おにぎりと一緒に味わいました。子どもと参加した猪股洋子さん(25)は「皮で包むのに苦労しましたが、おいしかった。肉や野菜も甘味があり、農家の顔が見える国産のものは安心感がありますね。やっぱり手作りが一番」。

 主催した泉支部の熊谷美和子事務局長は「若いお母さんに手作りのよさを知ってもらおうと開きました。本物の味を子どもたちに伝えてくれたら」と話します。

 連日、各地でギョーザ作りの指導に忙しい供給センターの今森さんは「地産地消を進め、国産のものを食べることが、地球温暖化に歯止めをかけます。食べ残しをなくすことも必要です」と呼びかけています。


原因究明・検査強化・学校給食の安全

農民連食健連 厚労・文科両省に要請

 農民連と全国食健連は、三月十二日、中国製ギョーザの中毒事件で、厚生労働省と文部科学省に要請を行いました。

 厚労省では、徹底的な原因究明と、検査体制の抜本的強化、食品監視員の増員などを求めました。

 しかし厚労省は、「原因究明は警察がやっている」「加工食品の検疫については、モニタリング調査を始めた。原材料での農薬使用も輸入時に説明するよう通知を出した」と回答するだけ。「ノーチェックのまま輸入されている現状で、いつ、誰がその説明をチェックするのか」という質問には、まったく答えられませんでした。

 文科省では、中国製冷凍ギョーザの回収が学校給食でも相次いだことに触れ、学校給食での安全確保を求めました。

 学校栄養士から「センター方式による大量調理では手間をかけられず、安い加工食品を使わざるをえないのが実態」、「食料自給率を向上させるうえで、学校給食の果たす役割は大きい。ぜひ安全な地産地消の食材を活用する立場で文科省がリーダーシップをとり、自校調理方式や、米飯給食への補助の復活などに積極的に取り組んでほしい」と要望。文科省も「地場産食材の活用は、教育上も大きな役割を果たしている。今後もすすめていく」と回答しました。

(新聞「農民」2008.3.24付)
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2008年3月

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