中国製冷凍ギョーザ運搬に保管に石油・電力を膨大に“食う”CO2を大量にまき散らす
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関連/やっぱり国産がいいわあ /農民連食健連 厚労・文科両省に要請 |
中国製冷凍ギョーザが運んでくるのは毒だけではなかった――。日本で多くの中毒患者を出した中国製冷凍ギョーザ。実は、中国から日本に運ばれてくるときに多大なエネルギーを消費し、温暖化の原因となっている二酸化炭素(CO2)を大量にまき散らしているのです。
シップ・アンド・オーシャン財団「船舶からの温室効果ガスの排出削減に関する調査研究報告書」(〇一年六月)によれば、冷凍食品を運ぶコンテナ船のCO2発生率は二〇・七で、石油タンカー(四・九)、穀物・石油運搬船(九・六)の四・二〜二・二倍です。
船による輸送はトラックなどよりも「地球にやさしい」と言われますが、コンテナ船は別。そのうえ冷凍食品は、中国の工場の倉庫からトラック、船、そして日本国内の倉庫と輸送に至るまで、マイナス一八度の冷凍が必要で、ばく大な電力を浪費しています。
しかも中国で作られてから、食べるまで三カ月〜十カ月。これもすべて冷凍が必要です。冷凍ギョーザを食べるというよりは、「農薬と石油と電力を食べている」ようなものです。
日本の食品企業が海外で冷凍食品を製造し、日本に逆輸入する「開発輸入」は、冷凍食品の長距離輸送を伴い、地球温暖化抑制に逆行するものです。
食料品の数値には、海外から輸入するときの船や飛行機からのCO2排出は含まれていません。もしこれをカウントすれば、食料品部門の排出量 はさらに増加し、冷凍食品となると、大量のエネルギーを消費していることはまちがいありません。
冷凍食品の製造にかかるエネルギーはどの位でしょうか。日本冷凍食品協会によれば、二〇〇六年の国内冷凍食品生産高は百五十四万五千二百四トン。冷凍食品一トンを製造するのにかかるエネルギー使用量 は原油に換算して〇・二一七九キロリットルとなり、こうして計算された、冷凍食品製造に費されるエネルギー量 は三十三万六千七百キロリットルに。増え始めた一九九〇年と比べても四〇%近く増えています。
同協会の担当者は「国内の冷凍食品生産量が増え続ける限り、CO2削減は困難」との見方を示しています。
北海道産小麦の皮、国産の産直野菜と肉を食材にギョーザ作りをスタート。神奈川農畜産物供給センターの今森節夫さんのアドバイスを受けながら、一つ一つ丁寧に皮を包みます。始めてから二十分もたつと、親も子どもたちも慣れた手つきでテンポが上がってきました。
たくさん作ったギョーザをホットプレートで焼いて出来上がり。おにぎりと一緒に味わいました。子どもと参加した猪股洋子さん(25)は「皮で包むのに苦労しましたが、おいしかった。肉や野菜も甘味があり、農家の顔が見える国産のものは安心感がありますね。やっぱり手作りが一番」。
主催した泉支部の熊谷美和子事務局長は「若いお母さんに手作りのよさを知ってもらおうと開きました。本物の味を子どもたちに伝えてくれたら」と話します。
連日、各地でギョーザ作りの指導に忙しい供給センターの今森さんは「地産地消を進め、国産のものを食べることが、地球温暖化に歯止めをかけます。食べ残しをなくすことも必要です」と呼びかけています。
厚労省では、徹底的な原因究明と、検査体制の抜本的強化、食品監視員の増員などを求めました。
しかし厚労省は、「原因究明は警察がやっている」「加工食品の検疫については、モニタリング調査を始めた。原材料での農薬使用も輸入時に説明するよう通知を出した」と回答するだけ。「ノーチェックのまま輸入されている現状で、いつ、誰がその説明をチェックするのか」という質問には、まったく答えられませんでした。
文科省では、中国製冷凍ギョーザの回収が学校給食でも相次いだことに触れ、学校給食での安全確保を求めました。
学校栄養士から「センター方式による大量調理では手間をかけられず、安い加工食品を使わざるをえないのが実態」、「食料自給率を向上させるうえで、学校給食の果たす役割は大きい。ぜひ安全な地産地消の食材を活用する立場で文科省がリーダーシップをとり、自校調理方式や、米飯給食への補助の復活などに積極的に取り組んでほしい」と要望。文科省も「地場産食材の活用は、教育上も大きな役割を果たしている。今後もすすめていく」と回答しました。
[2008年3月]
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