本の紹介
坂本進一郎著「大地の民」
自らの半生を小説仕立てに
農業破壊の政治を浮き彫りにした力作
「農林水産九条の会」の呼びかけ人の一人、秋田県大潟村で農業を営む坂本進一郎さんが、自らの半生を小説仕立てにして「大地の民」を出版しました。本当はタイトルを「大地の子」にしたかったそうですが、すでに同名の有名な小説がありました。
悩める青年、主人公の准一は、大学卒業後、北海道東北公庫に入社しますが、組織の中で「虚脱感」を抱くようになります。そして「生きがいある人生を送りたい」と、農業は未経験でしたが大きな夢を抱いて大潟村への入植を決意します。
しかし、「日本のモデル農業」ともてはやされた大潟村は、国の農業政策にほんろうされ、准一は「青刈り反対」闘争や「ヤミ米」騒動、そしてWTOに反対する運動へと大きな舞台へ押し上げられていきます。そして、食管法堅持を訴え続けた著者の思いも、准一を通じて主張されています。
夢と現実のはざまで苦悩した准一、一人の入植者からみた大潟村問題、その根底にある農政を浮き彫りにした読み応えある力作です。
この本は自費出版です。出版元の離騒社とは、中国・楚の高官、屈原の詩「離騒」に由来するそうです。
定価2340円(送料込み)。問い合わせ・注文は、Tel・Fax0185(45)2786まで。
(新聞「農民」2008.3.17付)
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