農家民宿おかあさんに
農民連会員が選ばれる
富山・南砺市(旧利賀村)
民宿「いなくぼ」の米倉みつ子さん
農水省と国土交通省は一月二十九日、「農林漁家民宿おかあさん100選」第一回選定者二十人を発表しました。このなかに、農民連会員のおかあさんがいます。それは、富山県南砺市(旧利賀村)の米倉みつ子さん(74)、民宿の名前は「いなくぼ」です。
都会の子らと心温まる交流
田植え・稲刈り、山登り…体験学習
いろり囲んで食の安全の話も
農水省と国土交通
省が始めた「農林漁家民宿おかあさん100選」は、農山漁村で民宿を経営し、体験民宿で都会住民と交流、家庭的なサービスにこだわり地域の活性化に貢献している女性を選んだもの。
旧利賀村は、秘境五箇山の奥にある山峡の小さな村。手つかずの自然の中、緑深くせせらぎが流れ、冬は二メートルの雪に閉ざされます。アルプスの少女ハイジを夢見て山に嫁いだという米倉さんは長年、夫の健さんとともに農業を営み、その傍ら、夫の両親の介護をし、副業として民宿を経営するという働き者。郷土の山と農業と平和をこよなく愛し、その厳しさと豊かさをよく知る人です。そして、農民連の仲間からも応援を受けて、一九七六年から農業委員を四期十二年務め、住民から信頼されてきました。また食生活改善推進委員会にも参加し、地元の郷土食を守り続けてきました。
いま、民宿「いなくぼ」を舞台に、東京の大学生の移動授業や武蔵野市の小学生セカンドスクールでは、そば打ちや田植え、稲刈り、山登りなどの体験学習を、毎年受け入れ交流をはかっています。米倉さんは「野菜のクズでにわとりを飼い、安全で新鮮な野菜・山菜を使った料理で都会の子どもたちを迎えています。いろりを囲んで、私がこだわっている食の安全や山での農業のことなどを話します。子どもたちから『昔の暮らしは?』『方言を教えて』とかせがまれたり、手紙も届きます。また、武蔵野市の小学校からお誘いがあり、東京に行くこともあります。昨年は嫁さんが行ってくれましたが、『みっちゃんは元気?』なんてたずねる子もいるんですよ。こんなおばあさんを…」と、うれしそうに話してくれました。
心あたたまる交流を続けている米倉さんです。
民宿「いなくぼ」の連絡先は、TEL0763(68)2432。
(富山県農民連 久郷道枝)
(新聞「農民」2008.3.10付)
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