阿見のおいしい里だより
茨城県南農民組合女性部 飯野靖子
香りがよく季節を先取り―ウド
春の食材は香りを楽しむものが多いが、なかでもウドは、年が明けて一月中旬ごろから出回り始める。香りがよく季節を先取りした気分にさせてくれる。ウドは「独活」と書く。山に自生していた原種を、先人たちが品種改良し、今では様々な栽培方法がある。栽培農家に作り方を聞いた。
三月末ごろ、畑に種株として残しておいたものを掘り起こし、株分けして四月に植え付け、霜が降りる十一月ごろまで根を太らせる。岡伏せという栽培では、深さ七十センチ、幅六十センチほどに掘った室の中に、その株をぎっちりと並べて土をかぶせ、こも(ムシロ)をかぶせて光を遮断しておく。土の中は意外と暖かく一二度くらいあるのだそうだ。普通は一株から三〜四本ほどのウドが伸びてきて、伸びる度に土をかぶせ、最終的に八十〜九十センチくらいまで育てる。
種株をつくる株分け作業は、良い芽を見分けて子株に切るという収穫量を左右する重要な作業で、一人前になるには五年かかるといわれる。太い根を切る手打ちの出刃包丁は、代々の宝物のように手入れされている。根を伏せこむ作業にも熟練を要し、三〜五年かかる。特殊な作物だけに、その家々での栽培方法には秘伝があるようだ。
ウドは皮をむいたらアクが出て、変色しやすいので水にさらす。
《酢みそ和え》
《卵とじ》薄いしょうゆ味にすると美味。
《天ぷら》葉もおいし
い。
《三杯酢》キュウリ、ワカメと一緒に酢の物に。
《煮物》油あげ、シイタケ、ニンジン、ウドを油でいため、砂糖、しょうゆ味で軽く煮る。 |
(新聞「農民」2008.3.10付)
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