安ければいいのか!?中国製冷凍ギョーザ事件から学ぶこと
中国製冷凍ギョーザ事件が、輸入依存の食生活に、大きな問題をつきつけています。同時に事件経過から協同組合運動にも、重要な課題が提起されています。
生協への信頼が大きな不信感に今回の冷凍ギョーザ事件で、発端となった千葉をはじめ全国各地の生協で、農薬つき冷凍食品が、日本生協連のコープ商品として取り扱われていたことが明らかになりました(国産・産直を重視している生協では取り扱っていません)。もちろん、毒ギョーザ発生の責任が生協にあるわけではありません。しかし、食品として全く不適切な商品がコープ商品として組合員に供給されていたことで、「安全・安心だから生協」と、信頼を寄せ結集している多くの組合員やその家族に、大きな不信感を与えたことは否定できません。その結果、残念なことに生協組合員の脱退が相次いでいると報じられています。なぜこんな事態になったのでしょうか。
“安全・安心”よりも“安さ”優先に拙著「現代の食糧問題と協同組合運動」(北斗書房)の第五章でも解明しましたが、一九九〇年代に日本の生協主流は、その商品政策を大きく転換させ、中国をはじめアジア各国からの輸入食品を重点的に取り扱うことで、「価格破壊戦争」に積極的に参戦してきました。食品産業全体の大きな流れの中に生協も加わったのです。その結果、「安全・安心」よりも「安さ」を優先させる事業姿勢が、海外からの輸入食品はもちろん、国内生産者との関係でも強められてきました。ミートホープ事件は、その事例のひとつです。この「安さ」重視の姿勢は、その後の日本生協連による「食料・農業政策提言」にも反映され、「高い関税は消費者が負担させられている」といった表現になっており、日本の農林水産業を守り発展させる視点を失っています。
安いアジア商品の最大の根拠はアジアからの加工食品の「安さ」には、理由があります。最大の根拠は、現地労働者の極端な低賃金と無権利状態です。また、当該輸出国内での「安全・安心」を求める消費者運動も未成熟です。このようなアジア商品の「安さ」の背景・根源を克服する方向で力をあわせるのではなく、その結果だけを利用しようとするのは、協同組合の貿易としてあるべき姿といえるでしょうか。協同組合の貿易活動は、両国の国民生活が持続的に発展できるよう十分配慮された、オルタナティブなフェアトレードをめざすものであってほしいものです。 (新聞「農民」2008.3.10付)
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[2008年3月]
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