地球温暖化防止対策
「地球温暖化、G8行動」
減反・助け合い・担い手つくり研究会での
真嶋良孝副会長の報告
今年七月七日から九日に、北海道・洞爺湖で主要国首脳会議(G8サミット)が、地球温暖化防止を中心課題に開かれます。二月十三日に行われた「減反・助け合い・担い手つくり研究会」で、農民連副会長の真嶋良孝さんが「地球温暖化、G8行動」について報告しました。その内容を紹介します。
農作物にもすでに大きく影響
国民の関心がきわめて高い
今年は、地球温暖化問題が大きな脚光を浴びる年になります。朝日新聞の世論調査(一月七日)によると、地球温暖化の影響を感じている人は九三%、心配している人が九二%、政府の取り組みが「熱心ではない」と評価している人が八〇%、さらに「選挙で環境問題を考慮する」人が七四%にのぼるなど国民の関心は高く、地球温暖化問題は農民連にとっても避けて通
れない課題になっています。(図1)
同時に、地球温暖化の影響は遠い将来の問題ではなく、農作物ではもう始まっています。農水省は、最近数年間見られる佐賀県など九州北部の米収量減の原因を「地球温暖化に伴う高温障害」と判断しています。また、果樹への影響も深刻で、リンゴやブドウ、柿などの着色不良、ナシや桃のみつ症、ミカンの浮皮、発芽不良などが、各地から報告されています。
日本政府 大企業いいなり国際合意を妨害
削減どころか総量規制を非難 財界
財界・アメリカの圧力に屈して
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COP13の開催中に、地元新聞に掲載された意見広告。アメリカのブッシュ大統領、カナダのハーパー首相と並んで福田首相が“国際合意を妨害する3人組”と批判されました。 |
地球温暖化防止対策は、地球と人類にとって死活的に重要な課題となっています。ところが日本政府は、世界から、アメリカ・カナダと並んで“COP13妨害三人組”と批判されています。その理由は、温暖化ガス排出削減を「不合理な総量
規制だ」と非難し、「環境問題を経済成長の阻害要因にするな」と要求する財界とアメリカの圧力に屈しているからです。とても、G8サミットの議長国を務める資格はありません。
(※COP13とは、インドネシア・バリ島で昨年十二月に開かれた国連の気候変動枠組条約締結国第13回会議)
石油浪費、バイオ燃料は異常
ここには、三つの異常があります。第一に、日本は食料の六一%を輸入に依存していますが、これは、大量の石油を浪費し温暖化ガスを排出して世界中から農産物を輸入していることを意味します。輸入総量と輸送距離を掛け合わせたデータを「フードマイレージ」と呼んでいますが、日本のフードマイレージはアメリカや韓国のほぼ三倍、九千億トン・キロにもおよびます。さらに食料自給率を引き下げるのが政府・財界のねらいですが、これは、地球温暖化防止にも食糧主権にも逆行するものです。
第二に、バイオ燃料用のサトウキビや油ヤシなどを生産するために、地球温暖化防止に最大の役割を果たしている熱帯雨林を破壊して、プランテーションづくりが進められていますが、日本の多国籍企業もインドネシアやブラジルなどで、これに加担しています。
第三に、日本の温暖化ガス排出量の削減目標は二〇一〇年までに六%ですが、逆に六・四%増やしています(図2)。しかも排出量
の半分を大企業三十五社が占め、財界は削減にまったく後ろ向きな態度を取っています(図3)。経団連の御手洗会長は昨年十二月、COP13に出席する鴨下環境相に対して「京都議定書のような不合理な総量
規制が設定されるようなことがあれば、国際競争力の弱体化は避けられない」と強調しました。これは、京都議定書そのものの全面
否定であり、バリ合意で目標とされた「二〇二〇年までに先進国が二五〜四〇%削減」に対する全面
的な拒否回答です。
経団連・御手洗会長は二月二十五日の記者会見で「総量規制を認める」と言い出しました。これは、世界の流れにこれ以上抵抗できないという側面とともに、この期に及んでも企業に対する規制を拒否するという「抵抗勢力」ぶりを見せつけたものです。この異常さをたださなければなりません。
食糧主権の実現こそ
食料自給率向上
G8開催の北海道に結集しよう
農民連・全国食健連はG8サミットに対する対抗行動として七月四、五の両日を「食糧主権の日」に設定して、食糧主権の実現と地球温暖化防止のため、ビア・カンペシーナと共同して国際フォーラムや集会・パレードを行い、広範なNGOとの連携を強めます。あわせて、北海道内の農村交流ツアーも計画しています。
全国から北海道に結集しましょう。
(新聞「農民」2008.3.10付)
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