「農民」記事データベース20080303-818-11

この人

ピッカピッカの“農業1年生”
今城 彰伸さん(22)(和歌山県紀の川市)


野菜大好きだったから…

 和歌山県紀の川市で、新規就農するピッカピッカの「農業一年生」、今城彰伸さん。農民連会員で有機農業実践グループ代表の、畑敏之さんのもとで一年間農業研修し、今年四月から一反の畑を独力で作ることになりました。「念願かなって、本当に夢のようです」と笑顔がまぶしい二十二歳。

 「とにかく野菜が好きだったから。食料自給率が四〇%と聞いて、食べ物がなくなったら、それはイヤだと」。就農をこころざしたのは、高校生の時でした。「当時、大好きだったものが二つあって、一つが野菜、もう一つが宇宙。天と地の選択ですごく悩んでいた時に、日本のロケット開発がとん座したんです。それで迷いなく農業を選びました」と言います。大学も就農を目指して農学部に進学。施設園芸をみっちり勉強しました。

 畑さんとの出会いは、県の就農支援センターの紹介で。研修中は、ポットに播種(はしゅ)し、出荷した分を順次、畑に移植するというローター農法の技術を習いました。この栽培方法は、直売など毎日出荷したい農家にピッタリで、虫の害が少なく、土作りと栽培を並行してできるなどの利点があると言います。

 出身は紀の川市の隣の和歌山市。実家の家業は地場産業のメリヤス工場です。繊維産業への輸入の影響は農業以上の厳しさだと言います。今城さんの農業への思いを聞いたおじいさんは、「うちの家業はもの作り。メリヤスも農業も、もの作りの心は同じ」と背中を押してくれました。

 そんな今城さんの夢は「“食”だけでなく“衣”も地産地消すること」。昨年は五アールの畑で綿花を作りました。縫製業も行うご両親にも協力してもらい、これからTシャツにする予定です。「一歩も日本から出ないで、着る人に届くTシャツです。手で収穫したので、労賃は考えないことにしています(笑)。これからもずっと続けたい」

 研修中、本当にうれしかったのが、小学校の給食の時間に畑さんのピンチヒッターでホウレンソウの話をした時。残さず食べてくれた子どもたちを見て、「こんな笑顔で食べてくれるなら、どんな苦労してもいい、ずっと農業してくんや、って思いました」。

 畑さんはじめ先輩農家には、ハード面でもソフト面でも、農業への考え方でも、助けてもらっているという今城さん。「ボクも感じたことを伝えられるような、伝えるべきことを感じられるような農家になって、食育にも携わっていきたい」

(新聞「農民」2008.3.3付)
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2008年3月

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