農家が作ったお店みんなで施設造り 運営も農家の手で群馬県中央部に位置する昭和村は全国有数のコンニャクと高原野菜の産地。片品川に接して走る県道沿いには、利根沼田農民連の糸井河原直売所が店舗を構え、新鮮な旬の野菜を消費者に提供しています。農家の手による直売所は、地域のよりどころとして親しまれています。
地域に愛される糸井河原直売所群馬・昭和村プレハブ造りの直売所に入ると、農家のお母ちゃんたちが丹精込めてしつらえた色鮮やかなフラワーアレンジメントが目を引きます。店舗の中は、利根沼田地域から集められた旬の野菜や農家手作りの加工食品が品ぞろえ豊富に並んでいます。エプロン、手編みセーター、きんちゃく袋などの編み物、手芸品も直売所に花を添えています。
施設も農家手造りイチゴの出荷に来た昭和村の竹吉順一さん(64)は言います。「自分で値段をつけて並べたり、夕方になって『あと残りはいくつ』と連絡をくれたりと、農家にきめ細かく対応してくれる。出荷する張り合いがある」常連客も多く、近隣市町村や県外からも。「農家手作りのうどんが楽しみ」という沼田市から来た女性は「スーパーと違って、新鮮な野菜がいいですね」 直売所の管理責任者、角田幸代さんは「この直売所は、生産者自身が立ち上げ、作り上げてきたもの」と自信を込めます。 十二年前、朝市をやっていた農家の仲間たちと「農家を守り、生産者意識を高めてもらうためにやってみようか」と始めた直売所。当初は十三人の生産者が今では三十人に広がりました。 プレハブなど施設もみんな農家手造り。水道工事ができる人、建築が得意な人など、一人ひとりの得意な技術を生かしています。加工所、食堂、トイレ……。農家の知恵と技術を総動員して施設を拡充してきました。 本業は大工という長谷川龍一さん(62)=沼田市=が「天然のキノコ、ワラビ、フキなど山のものがほしい」という要請に応えて出荷を始めたのが三年前。「キノコを直売所に出荷したら連絡をください。前橋から一時間もあれば行けますから」と電話をしてくるファンができるほどの人気ぶりです。食堂も現在は三人の農家が交替で切り盛りし、メニューもそれぞれ。心のこもった得意の手作り料理が、お客さんの心を和ませ、おなかを満たしてくれます。
毎日の交流楽しみ直売所の運営も農家の手に任されています。「みんなが言いたいことを言い合える。民主主義の直売所」(角田さん)このオープンな運営姿勢が買い物客との交流に生かされています。お客さんと直接顔を合わせる機会の多いのが、レジ担当者。レジを始めて一年半という酒井悦江さんは「なるべく主婦の立場でお客さんに接しています。地元のものを食べてもらうために、店内に並ぶ農産物の特長や調理法をアピールしたり、逆に、お客さんから料理法を教えてもらったりと、毎日の交流が楽しい」と笑顔を見せます。 利根沼田農民連のみなさんは、生産者と消費者とが喜びを感じ、さらに地域に愛される直売所をめざしています。
〈糸井河原直売所〉 (新聞「農民」2008.3.3付)
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[2008年3月]
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