「農民」記事データベース20080225-817-07

日本の米は本当に高いか?

みやざき九条の会代表世話人・元宮崎大学学長 藤原 宏志さん
(会ニュースから)

関連/“農の心で平和を”


 みやざき九条の会代表世話人の藤原宏志さん(元宮崎大学学長)が、みやざき九条の会ニュースに「日本の米は本当に高いか?」を書いています。その一部を紹介します。なお藤原さんは、岩波新書「稲作の起源を探る」の著者でもあります。

 現在の中国には、キロ九百円の日本産米を買える富裕層がいるという。しかし、表からわかるとおり、中国の平均的な賃金はまだ低い。内陸部の農村ではもっと低いと思われる。一日働いて買える米は八・三キロ。日本では最低賃金でも十八・六キロ買える。中国から来た留学生が「日本の米と卵は安い」と言っていたことを思い出す。ほぼ同質の米が市場価格にすると、日本の米が中国の六、七倍で日本の米は高いと言われる。しかし、働いて賃金を得て生活する視点からみれば、日本では中国の二倍の米を得ることができる。つまり、日本の米は中国の半分の価値しかないのである。

  コメ価格 賃金(1元15円で換算)
中国 45円(3元)/キロ 375円(25元)/日
日本 300円/キロ 5600円(最低賃金)/日

 日本の米は、やはり安すぎる。日本人の一日当たり米消費量は二百グラムであり、金額にすると六十円になる。缶 ジュースの半分の値段で主食がまかなえるというのは、異常だ。それを異常と感じないのは、生活感覚が麻痺(まひ)している結果 である。日本の米づくり農家が疲弊するのも当然だろう。中国のように、日本で米がキロ九百円なら、一日の米代が百八十円になる。主食である米の値打ちを考えれば、この値段は高いと言えるだろうか? この値段なら、米作農家はなんとか経営が成り立つのである。


“農の心で平和を”

あきた農林水産九条の会
1周年のつどい 賛同者120人に

 「憲法九条は世界の宝、食はいのちです」―昨年一月に結成した「あきた農林水産九条の会」は一月十九日、秋田市内で「一周年のつどい」を開催し、全県から八十五人が参加。三上満さんが「明日への銀河鉄道―農・九条・宮沢賢治」と題して記念講演しました。

 オープニングは、田舎暮らしがしたいと埼玉から東成瀬村に移住した杉山彰さんのギター弾き語り。事務局から、この一年間に「アピール賛同者」が百二十人にのぼったことが報告され、“引き続き賛同署名を広げよう”と確認しあいました。

 宮沢賢治研究者として知られる三上満さんは、非戦思想に貫かれた「宮沢賢治の作品」と「九条」、そして「農の生命力」を縦横に語り、大きな感動を呼びました。三上さんは、自らの体験を語りながら、「世界的に飢えに苦しむ人が増え続けているときに、日本の農業をつぶして世界から食料を買いあさることは許されない。暴力と報復の連鎖を絶とう。農の心で平和を、農から平和を」と訴えました。

 会場では“九条野菜”の販売なども行われました。

(秋田農民連 猪俣義補)

(新聞「農民」2008.2.25付)
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2008年2月

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