「農民」記事データベース20080218-816-10

レシピ集「とうふ大好き!レシピ110」

豆腐屋・小林秀一さん(東京都文京区)にきく


農家は大豆をたくさん作って

とうふ大好き!レシピ110 国産大豆にこだわる東京・文京区の豆腐屋さん「小林久間吉商店」四代目の小林秀一さん(33)が、料理研究家の池上保子さん、正子さんと、豆腐料理のレシピ集「とうふ大好き!レシピ一一〇」を出版しました。出版の思いや、豆腐作りの苦労を聞きました。

 豆腐屋がまちから消えてしまう

 この本は、さまざまな豆腐の食べ方を紹介することで、たくさんの人に豆腐屋に足を運んでもらいたいと思って出版しました。料理レシピだけでなく、手作り豆腐の作り方や、昔ながらの豆腐屋が減っていること、豆腐屋の思いも伝えたかったんです。

 豆腐作りは、夜中の二時から始めます。大学時代は天文学を専攻しましたが、生まれ育ったこの町から豆腐屋がなくなってしまうのは寂しくて、家業の豆腐屋を継ぎました。できたてを楽しみにして買いに来てくれるお客さんや、「豆腐は小林豆腐」と言ってくれるお客さんも多くて、そういう時やりがいを感じます。

 遺伝子組み換えや輸入豆は心配

 遺伝子組み換え大豆が増えていますが、組み換え大豆はまだ分からないことがたくさんあり、食べ物には使えないと思っています。輸入大豆は農薬漬けなのも心配です。食べ物を作る者として大豆は“この人が作っているから大丈夫だ”というものを使いたい。国産大豆なら生産者もはっきりしていますし、なにしろ甘味があって、おいしい。それと一番大切なことは、お金を出しても大豆が手に入らない危険が現実味をもってきたということです。農民連の皆さんには、ぜひとも国産大豆をたくさん作っていただきたい。お客さんも、うまいからこそ買ってくれる。豆腐屋の仲間を見ても、価格競争に巻き込まれるだけでなく、いい大豆でうまい豆腐を作って固定客のいる店が強いと感じています。

 国際価格が高騰まだ直撃されず

 輸入大豆の国際価格が高騰していますが、ウチは国産大豆を使っているので、幸いにもまだ直撃はされていません。でも多くの豆腐屋が値上げしないとやっていけない、という悲痛な声を上げています。

 大豆高騰の原因の一つに、大豆やトウモロコシなどが投機の対象になっているといわれています。容器代なども上がっているので、ウチも揚げ物などを一月に十円値上げしました。でもこの十円はウチのもうけではなくて、問屋さんへの支払いであり、問屋さんも仕入先への支払いが値上がりしているわけです。こういうふうに庶民から吸い上げた十円の値上がり分が積もり積もって、グローバルな投機マネーになっているんだと思うんです。消費者の皆さんには、くれぐれも値上がり分の正体を見きわめてほしいというのが、豆腐屋からのお願いですね。

(新聞「農民」2008.2.18付)
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2008年2月

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