中国製冷凍ギョーザ事件食品分析センター所長 石黒昌孝さんに聞く
中国製ギョーザに農薬が混入していた問題について、農民連食品分析センター所長の石黒昌孝さんに聞きました。
輸入品チェック強化が急務加工品の農薬検査なしもうけ本位の体質――今回の事件の問題点はどこですか。石黒 私たちが心配してきたことが、まさに現実のものになりました。グラフのように加工冷凍食品の輸入が急増しているのに、検疫所の人員が足らずチェック体制が手薄になっています。 検疫所で検査するのはわずか一〇・七%にすぎず、残り八九・三%は書類のみです。百八十六万件も届出があるのに、食品衛生監視員はわずか三百三十四人しかいません。監視員を大増員し、水際でのチェック強化が急務です。 加えて、外国の安い労賃と食材で、少しでも安いものを作らせて売るという、国民の安全よりはもうけ本位の食品企業の体質があります。低価格の冷凍ギョーザは一見、きれいに包装されてはいますが、裏をみると添加物だらけというものが多く、そんなものが私たちの口に入っていたのです。 以前から指摘されているように中国産野菜には残留農薬が多く含まれ、中国では農薬漬けの野菜を洗うための洗剤まで売られています。汚染されたものが輸入されているのです。
日本で禁止の農薬――食中毒の原因となっているメタミドホスや、新たに検出されたジクロルボスとはどんなものですか。石黒 メタミドホスやジクロルボスは、有機リン系の殺虫剤です。メタミドホスは、毒性が強いため日本では農薬登録されておらず禁止されていますが、中国では農薬として使われています。 ポジティブリスト制が一昨年からスタートしましたが、加工食品については、細菌、添加物の検査はされていますが、農薬はチェックされていません。 生鮮野菜では農薬検査をしていますが、昨年度のポジティブリスト制による違反事例をみると、中国産のネギ、白キクラゲ、ソバ、ニンジン、もち米、イチゴ、ハトムギからメタミドホスが検出されています。
自給率の向上こそ――今後何が求められていますか。石黒 まずは、どの過程で汚染したのかなど原因をはっきりさせることです。そのうえで輸入品のチェック体制を強化することが、国民の健康と安全を守る保障になります。加工食品も含め輸入依存をやめ、輸入するより安全でおいしい国産品に切りかえ、食料自給率を引き上げることが求められています。
農民連本部マスコミの問い合わせ殺到分析センター 石黒所長や八田さん連続出演一月三十日夕刻に発覚した中国産冷凍ギョーザの農薬中毒事件。農民連本部にはマスコミからの問い合わせが殺到しています。この間、食品分析センター所長の石黒昌孝さんや八田純人さんが、テレビに連続出演しています。主な番組だけでも表のとおり。まさにテレビに出ない日がないほど、食品分析センターの活躍が注目されています。
(新聞「農民」2008.2.18付)
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[2008年2月]
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